2653.【3】 ページ3
［雅にぃside］
俺が掴んだ和の腕には
すごい力が入ってる。
「いやだ」って号泣。
採血程度でこんなに大泣きするのは久しぶり。
翔「泣きすぎで可哀想だから…落ち着くまで
待つか」
「そうだね」
パッと腕を離したら「やらない」って叫びながら
腕を隠すようにコロンと丸くなった。
その背中を優しく撫でながら翔にぃが「無理矢理は
嫌だもんな、悪かった…」って声を掛ける。
翔「ごめんな」
和「…っ、んくっ、や…」
翔「ん、悪かった…」
和「…っ、んっ、んくっ…」
翔「心配なことある？俺ら一緒に背負うよ？」
和「…っ、んくっ…、ん、いっぱい…」
「いっぱいある」って言いながら翔にぃに
しがみ付くようにくっ付いた和は、声を上げて
しゃっくり上げながら泣いて…
思いっきり泣いて、爆発させた後は落ち着いて
割とすんなり採血させてくれた。
智「偉かったね、おしまいだって」
「えらい、えらい」
和「…ょ、…いん行かな…」
翔「ん、やめておこうな。結果だけ出して
くるから大丈夫だよ」
和「…っ、んくっ…」
翔にぃが病院に行ってくれて、その間和は
不安そうに待っていたけど…
翔「ここな？分かる？」
和「…ん」
戻ってきた翔にぃが「自宅で安静にして、薬で
治療していこう」って言ってくれて
やっと笑顔を見せてくれた。
［翔にぃside］
血液検査の結果、血小板が減少していて。
先輩にも相談したけど「薬で1週間様子みて
改善しなかったら、もっと詳しく検査した方が
和くんの負担少なく済むだろ」って言ってくれた。
「出血すると血が止まりにくいから、怪我には
気を付けろよ？」
和「学校は？」
「1週間は休んで？」
和「はぁい…」
ちょっと不満そうだけど、血液検査する前に
比べたら、気持ち的にも落ち着いてるみたい。
「ほら、いい子にしてたから。な？」
和「んふふ…やったぁ〜」
投薬3日目で血小板の数値も上がってきたから、
今回はこのまま薬でなんとかなりそう。
他の病気が見つかったワケでもなく、
よかったな…って。
和「ちょっと潤のところ行ってきてもいい？」
「ん、すぐ戻ってこいよ？」
和「やった！」
和室に寝かせて、行動を制限していたけど
ちょっとくらい良いかなって思ってしまって。
だけど、俺のこの判断が良くなかった…
潤「和！！」
ガタン…ゴン、ゴトン…
数分後には潤の悲鳴みたいな声と、大きな
音が階段の方から響いてきて。
足を滑らせた潤を庇って、和が代わりに
階段から落ちた…
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作者名：空
| 作成日時：2017年9月3日 16時
