2667.【3】 ページ17
［雅にぃside］
こんなはずじゃ
なかったのに…
どうして翔にぃを責めるような言い方をして
しまったんだろう。
今さら悔やんでも、翔にぃが目を覚ますわけでは
ないけれど、悲しくて…
「…っ、ん…ほんと、に、…めん…」
翔「…」
酸素マスクを曇らせるだけの翔にぃから、返答は
もちろんなくって。
悲しくなる…
双子もいっぱい泣いて、智にぃも泣いて。
先「また明日おいで。ちゃんと見ておくから」
智「…はい」
4人連れ立ってICUを出る。
口を開けば「謝りたい」って話になって、
空気は重くなるばかり…
そんなことが2日間続いて、病院に面会に
行ったら、先生に個室に呼ばれた。
「目、覚ますと思うよ」って。
昨日の夜、何度も「…ごめん」って魘されて
いたんだって。
先生が話し掛けたけど「ごめん」って繰り返す
ばかりで会話は出来なかったって。
先「翔くん自身にも申し訳なさがあって、
目を覚まそうとする意志がまだ弱いんだと思う」
智「どうしたら、いいですか…？」
先「声、掛けてあげて。待ってるよって」
智「…は、い」
翔にぃが申し訳なさを感じる必要なんてないのに…
謝らなきゃいけないのは俺らなんだから。
智にぃもそう思うのか、唇をギュッと噛んで
声を震わせて「分かりました」って返してる。
［翔にぃside］
何度か聴こえた4人の声。
だけど、どんな顔をして会えばいいのか
分からなくて…
「ごめん」って思いながら悩んでいると、そのまま
意識がスーッと薄れていく。
そんなことを繰り返してた。
和潤「翔にぃ…起きて…」
智「翔？俺らに謝らせて…」
雅「翔にぃ…」
今朝はいつもよりも4人の呼び掛けが大きく
聴こえて。
そろそろ目覚めて、俺も謝らなきゃなって
思って…
目を覚ましたいって強く願った。
智「翔？」
雅「翔にぃ！！」
体に触れられる感覚と共に4人の声。
あ…起きられそう…
そう思ってゆっくりと目を開けてみたら、
智にぃと雅紀と和と潤に顔を覗かれていた。
「ごめん」って口を開こうとしたのに、それよりも
早く4人が「ごめん」「ごめんなさい」って
声を揃える。
俺だって謝りたいのに、そんな隙は与えずに
次々に涙を零しながら…
俺に落ちてくるのね。笑
目を真っ赤にして謝る4人の姿に、俺まで
ジーン…と。
涙が溢れる。
4人からもらった『大事だから…』って言葉、
忘れずにいようと思うよ。
無駄なことで悩むのはやめよう。
ありがとう…
END
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作者名：空
| 作成日時：2017年9月3日 16時
