2648.【3】 ページ48
［雅にぃside］
『こんにちは〜』って
声を揃えて職場にやってきた双子。
和「わぁ…お腹大きいね」
潤「すげぇ…」
双子は職場に来るのは初めてではないし、
スタッフも知ってくれている人が多いから
すんなり受け入れてくれて有難い。
「この子はね、ウェルシュマウンテンっていう
種類のポニーなんだ」
和「へぇ〜、可愛いね」
潤「毛がツヤツヤ ♪」
「初めての出産だから、応援してあげてね」
和潤「ん ♪」
俺は他のスタッフと一緒に馬房の中へ。
双子は扉の上から顔を出して「頑張って」って
見つめてる。
ポニーの出産はすんなり済むことが多い。
俺も何度か見せてもらったことはあるけど
破水が始まったらあっという間。
だから、今回は絶対に立ち会いたくて泊まりが
多くなってたんだ。
「頑張れ〜」
ス「いよいよですね」
破水が起こって、母馬が横になって出産体勢。
「大丈夫、一緒にがんばろうね…」
陣痛の痛みに耐えながら頑張ってる。
「がんばれ〜…」
時々、大きな唸り声を上げながら一生懸命な母馬。
どんな動物の出産も感動する…
和「がんばれ…」
潤「いけ…」
それは誰でも一緒のようで…
扉から顔を出した双子は母馬を見つめながら
一生懸命に応援していた。
［潤side］
「…すげぇ」
和「ん、ほんとだね…」
気が付くとポニーと一緒に力を入れている
自分がいる。
雅「あ、出そうだね」
ス「よし…がんばれ」
和潤「がんばれ…」
白っぽい膜に包まれた赤ちゃんが…
「…すごい」
和「…ん」
やばい、感動…
膜が破れて、赤ちゃんの鼻が出てきて。
雅「頑張ったね…」
雅にぃが母馬と赤ちゃんに優しく声を掛けて
笑い掛けてる。
なんだろう…
不思議な感じ。
相手はポニーで動物なのに…
雅「すごいね…頑張ったね…」
雅にぃが話しているのを見てると、相手が
動物だとは思えない。
上手く言葉には出来ないけど…
しばらくしたら雅にぃがこっちに来てくれて
「母馬が頑張って舐めてるでしょ？これから
30分くらい舐め続けるの。膜をとって体を乾かして
温める役割があるんだよ」って教えてくれた。
出産したばっかりなのに、すげぇなって思う。
すごいのは、お母さんポニーだけじゃなくって…
和「え…もう立とうとしてる…？」
雅「自然界は厳しいからね。いつまでも動けない
ままでいると敵に襲われるから」
「そっか…」
テレビとかでは観たことあったけど…
「…すごい生命力だね」
やっぱりすごい。
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作者名：空
| 作成日時：2017年7月13日 21時
