2622.【3】 ページ22
［智にぃside］
翔の不安定な心が
こんなタイミングでパニックに繋がるとは
思っていなかった。
翔のことも、ちゃんとフォローしてやりたいけど
そこまで手が回らない現実…
申し訳なく思ってしまうけど。
雅「翔にぃ…大丈夫だからね」
今は雅紀が傍にいてくれるから大丈夫だね。
「車乗って？病院行こう？」
翔「…っ、和、和と…」
「ん、和も乗せるから。一緒に行こう」
和に近付こうとして、雅紀の腕の中でバタバタと
もがいている翔に声を掛けてみるけど
「和と」「嫌だ」って繰り返すばかり。
薬を飲ませたとはいえ、翔が診れない状態で
このまま和を放っておくわけにはいかないし…
「…翔？和も一緒に行くから。ね？」
翔「…っ、んっ、いや、やだ…一緒に…」
「ん、一緒にいく。連れていこう？」
翔「…んっ、んくっ…和も…」
雅紀と一緒に両側から抱える様にして立たせて
車に乗せる。
一番後ろの席に雅紀と座ってもらって…
翔「…っ、んっ、和…和、は…？」
「大丈夫。今連れてくるね」
翔「…ん、んくっ…」
少し分かってくれたのかな…
小さく頷いた気がした。
「和、大丈夫だからね。みんなで病院行くからね」
和「…ん」
薬を飲んでから少しずつ落ち着いてきた和を
抱き上げて、後部座席の潤の膝の上に寝かせる。
潤「和…大丈夫だからな？」
和「…ん」
すぐに潤が和の頭を撫でてくれた。
「ありがとね…潤」
今回、双子には翔のことを伝えていなかった。
だから2人とも、パニックになった翔を見て
少なからずビックリしていると思うんだよね…
それでも、こうして取り乱さずにいてくれる。
和と潤も成長しているんだな…って、改めて
感じる。
「和に何か変化あったら教えてね」
潤「…ん、分かった」
一声掛けて運転席へ。
翔「…っ、んっ、和！！和…」
雅「大丈夫、大丈夫だから…」
車が走り出してからも、翔はパニックから
抜け出せずにいて…
バックミラーで確認したら、立ち上がろうとする
翔を「危ないから座ってて」って雅紀が
抑え込んでる。
翔「…っ、ん…、離し、て…」
雅「大丈夫だから…」
それは病院に着いてからも変わらずで…
翔「どこいくの、和！！…っ、離し、て…」
雅「落ち着いて…翔にぃ…」
ストレッチャーに乗せられる和を見て取り乱して
座席から乗り出す。
先生に状況を説明していたら、和が俺に向かって
「翔にぃの傍にいてあげて」って。
息をするのも苦しい状態なのに、伝えてくれた…
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作者名：空
| 作成日時：2017年7月13日 21時
