2602.【2】 ページ2
［智にぃside］
翔には翔なりの
事情があって、今の状況になってる。
全てに突っ込んでいくわけにはいかないと思って
黙って見守ってきたけれど…
目の下の隈。
活気の無くなった目。
出せなくなった感情。
その全てが、翔の限界を伝えてる…
さすがに…もういいよね。
雅紀と双子を見送ってから、スマホの発信ボタンを
押して先生に電話。
「当直明けで往診に行くから」って。
その後も何度か部屋を覗いたけれど、ベッドに
寝転んでボーッとしているだけで…
「もうすぐ先生きてくれるよ」って伝えてみたけど
反応はなかった。
ピンポーン…
先生は家に来るなり「智くん、ごめん。翔くんが
こうなってる原因、心当たりあるんだ」って
話してくれた。
だから俺も、ここ最近の翔の様子を話して。
先「よし、いってみるか。診せてくれるかな…」
「一応、伝えたんですけど、聞いてない
みたいで…」
ノックをしても、当然ながら返答はない。
ガチャリ…とドアを開けたら、やっぱりベッドに
寝転んだままボーッと天井を見つめてる翔。
先「…翔くん？」
翔「…」
呼び掛けても反応はなかったけど…
先「翔くん？…きたよ？」
翔「…っ！嫌だ！！」
先生がベッドサイドまでいって、視線を捉えたら
興奮したように叫んでガバッと起き上がった。
「…っ翔！」
突然のことに慌てて駆け寄る。
翔「やだっ！さと、にぃ！」
先生が翔の肩を抑えていたけれど、嫌がって
抵抗して、俺を呼ぶ。
先「智くん、代わって？」
「はい。…翔？」
先生と代わって、それから腕の中におさめる。
それでも翔は「なに？」「なにするの？」って
先生を警戒して興奮状態。
「心配して、来てくれたんだよ？」
翔「嫌だ！…っ、いい！！」
「体、辛いでしょ？」
翔「…つらく、ない…」
もうずっと、寝不足でしょう？
ここのところ、まともに食べてないでしょう？
体調だって、良いはずがない。
先生は俺の気持ちも分かってくれているから
黙って診察の準備をしてくれる。
だけど翔は「いやだ」って。
翔「…っ、や…、離し、て…」
先「翔くん？とりあえず体温だけ計ってみよう？」
翔「んーん、んっ…や…、さと、にぃ…」
先生が体温計を手にベッドサイドに座ったら
興奮状態。
手を払い除けて首を振って拒否を示して
俺にしがみ付いてくる。
先「熱だけ計っちゃう。抱き締めてて？」
「はい」
腕ごと抱え込んだら、抑えられてるって分かって
「いやだー」って叫ぶけど…
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作者名：空
| 作成日時：2017年7月13日 21時
