2528.【4】 ページ28
［智にぃside］
もう何日も
続いているから…そろそろ話を聞いてみても
いいんじゃないかって思って。
部屋にお邪魔したけど、かしこまっちゃってる
翔が目の前に。笑
翔「あの、さ…？」
「ん？」
翔「…」
暫く俯いて何かを考えていた翔は「心配掛けた
ならごめん」って顔の前で手を合わせた。
翔らしい誤魔化しのない真面目な姿。
「ちょっと元気なかった？」
翔「…ん」
話した方がいいのか、悩んでるのかな…
俯き加減のまま、暫しの沈黙。
「大したことないって思ってもさ、何でも
話してくれていいんだからね？」
翔「…」
「とりあえず呑もっか。ね？」
コクン…と頷いて、少しだけ笑った翔にビールを
手渡す。
『かんぱーい』
『おつかれさまー』
こうして翔とのんびりするのもいいね。
翔「あのね、智にぃ…」
「…ん？」
翔「…俺、何か焦っちゃうんだ…」
カルパッチョをパクッと食べながら、少しずつ
話をしてくれた。
何に対しても一生懸命で手を抜かない翔だから
いっぱいいっぱいになってしまうんだよね。
前に先生が『翔くんは後輩にも頼られるし、
上司には期待されるしで大変なんだと思うよ』って
言っていたのを思い出す。
みんなの為なら…って感じ。
そこも翔の個性だし、素敵なとこだと
俺は思っているから。
［翔にぃside］
智にぃが「何でも話していいよ」って感じで
一緒に呑んでくれるから、嬉しくて…
ついつい色々と喋っちゃった。
こうやって寄り添ってくれる人が傍にいるって
嬉しいもんだね。
「スッキリした…よく眠れそう」
智「ふふ…よかった。俺も眠くなった…笑」
「はは！寝ないでよ？」
智「寝ないよぉ〜。笑」
いつもの倍はフニャッと笑った智にぃは
俺のベッドに潜り込んだ。
片付けとトイレを済ませて戻ったらモソモソと
起き上がって「どーぞ」って布団を捲ってくれる。
智「居てあげようか？笑」
「もう…笑。からかわないでよ」
智「んふふ…」
入れ替わり布団に入ったらフワッと香ってきた
智にぃの匂い。
え…匂いってこんなに感じるものなの？笑
もしかしたら、俺の匂いも…？
そんな思いに駆られて…
「ねぇ…」
智「ん？」
部屋を出ていく直前、呼び止める。
「…もしかして、気が付いて、た？」
智「ん？なにに…？」
「その…」
口籠っちゃう…
そしたら「…ふふ。なーんにも気が付いて
ないよ〜」って。
「そっか」
智「ん、おやすみ〜」
今はその優しい嘘に甘えようと思うよ。
END
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作者名：空
| 作成日時：2017年5月4日 13時
