2522.【2】 ページ22
［翔にぃside］
目の前の光景を
受け入れられない。
ICUのベッドに寝かされているのは和なのに
そうは思えない。
思いたくない。
「喧嘩して…仲直りできてない、ままなんです…」
先「ん、さっき智くんから聞いた」
先輩は落ち込む俺の肩に手を置いて「和くんも
謝りたいって思ってるはずだろ？」「だから
大丈夫だよ」って慰めてくれる。
潤「…っ、んくっ…早く、和に会いた、い…」
先「待ってよう。大丈夫」
後悔したって遅いのは分かってる。
だけど…
なんであの時あんな言い方してしまったん
だろう…
どうして今朝、仲直りしなかったんだろう…
悔やまれる事が多過ぎてどうにもならない。
だって、和が素直になれないことは分かってた。
謝ろうって思っても、なかなか自分からは
言い出せないこと分かってた。
「ごめんな…」
ベッドに寝かされた和の手を握ると温かい。
どうか、この温もりが消えませんように…
和がこれ以上、苦しみませんように…
骨折などの怪我はないけれど、頭を打っていて
危険な状態だと聞いている。
意識が戻るまでは何とも言えないって…
雅「ごめんね、かず…」
智「かず、ごめん…」
謝ることしかできないよ…
仲直り、しておけばよかった。
［潤side］
和の状態は悪いらしくて『危篤』って…
兄貴達はいっぱいいっぱい悔やんでいるけど、
それは和も同じだと思うんだ。
どうやって仲直りしよう…
素直にならなくちゃ…
相談しなきゃ、話さなきゃ…
きっとそんな風に悩んで、真っ直ぐに帰宅は
出来なくてプラプラしてたんだと思う。
フットサルになんて行かないで、俺が一緒に
帰ってやればよかった。
今もう一度やり直せるなら「一緒に帰るから
仲直りしちゃおう？」って声を掛けるのに。
やり直しがきかないのが悔しい。
だけど…
先「みんなで待っててあげよう？先生も信じる
から」
「…はい」
みんなで信じて待っていれば大丈夫。
先生も翔先生も一生懸命に治療してくれているし、
和だって元気になりたいって気持ちを
持ってくれているはずだから。
雅「かずー、マッサージしようね〜」
翔「よかったな、かず」
事故の翌日も和は意識がないまま。
ただ寝ている和を見ては、今朝は涙を流すだけの
兄貴達だったけど、今は違う。
数時間経っただけなのに「信じてるからな」って
しっかりと和の力を信じようとして…
自分達も強くいようと決めたみたい。
みんなで待ってるから…
早めに目、覚ませよ？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2769人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空
| 作成日時：2017年5月4日 13時
