2510.【2】 ページ10
［潤side］
検査結果がよくて
みんなで喜んだ。
和も「頑張ってよかった」ってニコニコして。
服薬とか診察にも前向きになって、良い方向に
進んでいたのに…
和「…っ、んっ、くっ…」
「かず！！」
数日後のお風呂中に大きな発作を起こした…
そのまま病院に搬送されて、治療を受けたけど
意識は戻らず。
挿管はせずに済んだけど、酸素マスクを
付けられてベッドに寝かせられている和を
見ているのは辛い。
翔「なんで期待もたせるようなこと
言っちゃったんだろ…」
雅「なんで目覚めないの…？」
智「かず…」
翔にぃは落ち込んでしまっているし、智にぃと
雅にぃも珍しく涙を流してる。
検査で良い結果が出ただけに、みんなの悔しさは
いつもより大きくて…
翔「こんなことになるんだったら、あんな
大げさに褒めたりしなきゃよかった…」
智「ほんとだね…」
雅「…っ、かず…」
「…っ、んくっ…かず…」
先生とカウンセラーは俺らの話を聞いている。
「そんなこと言うな」とも「そうだね」とも
言わず、和の診察をして、俺らの様子を見て
黙って去っていく。
和が意識を取り戻すまでは、何を言っても俺らの
耳には入らないこと、分かっていたのかも
しれない。
発作から数日後…
先「熱高いな…どうする？」
翔「…」
先「夕方まで様子見るか」
翔「…はい」
和は熱を出してしまったらしい。
確かに握っていた手は熱い気がしたけれど…
翔にぃは和に「ごめんな」って謝りながら「期待
もたせるようなことばっかり…ほんとごめん」って
思い詰めている。
「なんで、目覚めない、の…？」
大好きな翔にぃがこんなに苦しんでいるのに
和はどうして目覚めないの？
俺は和を責めるような気持ちになってしまい…
智にぃと雅にぃも、目覚めない和に対して
「どうして？」って気持ちが大きくなって。
病室の空気はどんより。
雑談することはもちろんなくて…
口を開けば和を責めてしまうか、何も出来ない
自分達を責めるかで…
先「夕方、また診にくるから」
カ「話したいことあったら、いつでも呼んでね」
「…」
どうしたら良いのか、どうするべきなのか
分からない。
和の傍を離れたくはなくて、手を握って
時間が許す限り隣にいた。
その気持ちは兄貴達も同じで、みんなで同じ
空間にはいたけれど…
抱える気持ちは、みんなそれぞれ。
病室に流れる空気はいつもと違ってギスギス
している気がする。
そんな時に目を覚ました和。
何を感じただろう…
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作者名：空
| 作成日時：2017年5月4日 13時
