2538.【5】 ページ38
［潤side］
起きるのが遅かった俺は
一足出遅れた…
雅にぃはまた眠ってしまったらしく、和室で
和が傍にいてくれてる。
智「脛と太ももにも痣があってね…」
翔「肩の辺りにも」
「そっか…」
昨日のところ以外にも、痣が見つかったと
教えてもらった。
智「見えにくい位置を狙われてるよね…」
翔「職場か、交友関係か…」
智「本人に聞くしかないね…」
一先ず朝食を食べて、雅にぃを起こして。
雅「…んぱい、掛けて、ごめん、ね？」
和潤「…んーん、大丈夫だよ」
俺ら双子にも心配を掛けてしまっていると思って
苦しくなってしまったみたいでポロポロ泣き出す。
智「もう一人で抱え込むのやめよう？」
翔「…助けてやるから。な？」
雅「…っ、んっ、んくっ…」
本格的に泣き出してしまった雅にぃを
兄貴達は優しく慰めて、気持ちが落ち着くまで
寄り添ってあげていた。
俺らは学校の時間ギリギリまで傍にいて
2人で登校した。
［翔にぃside］
雅紀は昼前になって、やっと全てを話すことが
出来た。
途中何度も過呼吸を起こしそうになって、その度に
落ち着くのを待って…の繰り返し。
俺らは、長い時間一人で抱え込んでいた雅紀の
苦しみの大きさを実感した…
智「しばらく休もうね」
雅「…ん」
とりあえず職場には病欠で電話をして、夕方
カウンセラーの元へ連れて行った。
カ「雅紀くんが安心できる環境で療養させて
あげて？」
智翔「…はい」
看護師さんが雅紀を連れ出してくれた後、
カウンセラーと話しをする。
薬を処方してもらって、自宅療養。
やっぱり安心できるみたいで…
雅「…大丈夫、寝られる…」
智「ん、おやすみ…」
寝顔は穏やかだ。
例の後輩は何かを悟って雅紀に電話を掛けて
きたみたいだけど…
雅紀は「お前のことは関係ないよ。熱。笑」って
何度も伝えてあげていた。
もちろん俺らは黙っているつもりはない。
雅紀が落ち着いたら園長先生に話をさせて
もらうつもり。
だけど、それよりも先に職場が動きだした。
夕方にかかってきた電話は園長先生から。
『雅紀くんに暴力を振るったと言っている』
そんな内容。
智にぃが園長先生に事情を話してくれた。
例の社員が自分から感じてくれたみたい。
欠勤が続く雅紀の為にと一生懸命な職場の
人達を毎日見て、雅紀への信頼の厚さを感じたと。
それに比べ、自分の行動が堪らなく情けなく
感じたと。
雅紀の日々の行いが良い方向に事を動かした。
さすがだよ、雅紀。
END
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作者名：空
| 作成日時：2017年5月4日 13時
