2457.【自宅療養】 ページ7
［翔にぃside］
医局の机の上、パソコンの
画面には和の検査結果。
「はぁ〜…」
見ればみる程に溜め息が…
先「連れて帰るんだろ？」
「…そうですね」
心臓の調子が良くない。
本当なら入院させたいレベルだけど、今の和には
入院は少し厳しい。
「今は泣かれることの方が恐いので…」
先「ん、そうだな」
この状態で泣かせてしまえば、確実にチアノーゼを
起こしてしまう。
そうなれば発作を誘発してしまうかもしれないし、
確実に入院になってしまう。
「…連れて帰ります」
先輩と治療の方向性と、自宅療養の話をしてから
医局を後にする。
病室に戻ると、静かに涙を零す和と、胸元を
さすってあげている智にぃがいた。
心臓のエコーと血液検査だったけど、泣いて
しまったから薬で眠らせたんだ。
目覚めて不安になったんだろうな…
「かーず、帰ろう。検査、ごめんな…？」
和「…ん、ん…」
無理矢理に検査を進めてしまって罪悪感が残って
いたんだけれど…
和は服の袖で涙を拭って、それから俺を見つめて。
和「帰れるの、ありがと…」
小さく呟いてくれた。
本当は入院が必要かも…ってこと、和はちゃんと
分かっているんだなって。
「よく頑張ったな。帰ろう」
智「よかったね、かず」
和「…ん」
腕の中におさめれば、再確認できる大事な存在の
温もり。
この可愛い奴の為だったらって思うんだよね。笑
院内は車椅子で移動させて、家の中でも極力
歩かせることを避ける。
和「…っ、ん…、苦し、い…」
「落ち着くまで喋らないで…」
それでもトイレまでの移動などで少し体を
動かしただけで、心臓が悲鳴を上げてしまう…
「大丈夫。すぐラクになるからな」
気持ちが焦ってしまっては、落ち着くのにも
時間がかかってしまうから。
潤にあらしを連れてきてもらって枕元にそっと
降ろす。
あらしの効果は絶大なんだ。
それまで不安そうに瞳を揺らしていた和が
あらしの背中をそっと撫でながら目を閉じる。
病院でドッグセラピーを取り入れているところも
あるくらいだからね。
雅紀もよく言っているけど、動物の力って
何にも代えられなくて。
潤「くふふ…あらしも幸せそう」
あらしのお陰で、まわりの人まで笑顔になれる。
「ありがとな…かずは大丈夫だから安心しろ」
「クゥーン…」
大好きな人が苦しんでいたら、悲しくなる。
それは犬だって同じなんだと…
和は目を閉じたまま口角をキュッと上げて。
そのまま眠りに落ちた…
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作者名：空
| 作成日時：2017年2月18日 9時
