2499.【3】 ページ49
［雅にぃside］
智「…っ、ん、
入院は、いや…」
翔「大丈夫…みんなで傍にいるから」
智にぃがいくら「嫌だ」と言っても、今回の入院は
もう決まってしまったもの。
翔にぃが判断したことだから…
「後で和と潤も連れてくるよ」
智「…っ、んっ…、いや、だ…」
気持ちが不安定な智にぃは何を言っても
首を振るばっかりだったけど、翔にぃに胸元を
さすられながら眠りに落ちた。
疲れもあるからね。
その間に家に双子を迎えに帰って、入院の準備も
済ませる。
和と潤もある程度は覚悟していたみたいで
「これ、持っていってあげよう？」って
お気に入りのマグカップとパジャマを用意して
くれた。
和「んふふ…よく眠れてるね」
翔「そうだね。やっぱり薬の効きがいいや」
家での療養だと、使える薬もかなり限られて
くるから。
入院していれば、自宅での療養では使用できない
薬も使うことが出来る。
少しはラクになればいいなって…
潤「これ、後で枕に掛けてあげて？」
翔「…ありがとう」
潤がもってきたタオルは、5人でディズニーランドに
行った時に買ったもの。
楽しかった思い出が蘇ってきて、いいかもね。
智「ん、んん…」
和潤「智にぃ？」
翔「…起きた？」
ゆっくりと目を開けた智にぃは、俺ら4人を
順番に見つめて。
それから小さく口を動かして「ごめん…」って。
智「…っ、んっ、ん…」
和「いいの。大丈夫だから…」
潤「そうだよ、大丈夫」
双子の言葉を聞いても、ポロポロと零れる涙は
止まらない。
次第にそこに「いやだ」って言葉が合わさって
さらに呼吸を乱す。
和潤「…さとにぃ」
いつもだったら、俺ら弟に心配かけまいとして
振る舞うのに。
今の智にぃには、余裕がなくて…
いつもと違う姿に、双子の表情もどんどん曇る。
智「…っ、んっ、…や、だ。…えりた、い…」
「ん、分かってるよ。大丈夫…」
翔にぃがカウンセラーに連絡してくれて
駆け付けてくれて…
カウンセラーは智にぃの言葉に優しく相槌を
打ちながら「病院にいても守れるよ」「智くんは
みんなのこと守れるから」って言葉を掛けて
くれた。
翔「みんな傍にいるからね…」
「一緒にいようね…」
智「…っ、んっ…」
落ち着いてきたところで、点滴の側管から
鎮静剤が追加される。
それを見ていた双子が「俺らもいるよ」って
ニコニコしながら、ベッドサイドに椅子を
持っていって。
智にぃの手を、それぞれ優しく両手で握った。
智「…りがと、…め、ん…」
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作者名：空
| 作成日時：2017年2月18日 9時
