2494.【2】 ページ44
［翔にぃside］
いつまでも
フローリングの上に寝かせておく訳には
いかないのに…
「少しだけ…ね？」
智「…ん、いい…」
動かそうとすると、嫌々って首を振る。
隠しておきたかったのに、こんなカタチで
みんなに知られることになって嫌なんだろうね…
申し訳ない気持ちと、悔しい気持ちが
あるのかもしれないけど、それにプラスで
後に引けなくなってる感じがする。
双子が気を利かせて自室へと戻ってくれて、雅紀は
お風呂の用意をした後に、キッチンで夕飯の
後片付けを始めた。
「…和室に布団敷こうか？」
智「…」
「とりあえず、ラグの上でもソファーでも
いいから動こう？」
肩をトントンと叩けば「んぅ…」って少しだけ
目を開けてくれて。
弟達が近くにいないって分かれば、少しは素直に
動く気になるんではないかと。
俺の口からそれを伝えることはしないけどさ。
「軽く支えれば動けそう…？」
智「…ん、動け、る」
モソモソと体を起こし始めたから、背中に手を
入れて手伝う。
やっと素直になったかと思いきや、支えて
立たせたら「…部屋いく」って、階段の方に
向きを変えてしまって。
「さすがに無理だよ、やめておこう？」
智「…ん、んん…」
体の向きを変えようと肩を引いたけど、全然
従ってくれない。
「まさ？和室に布団敷いてもらっていい？」
雅「あ、うん」
キッチンから心配そうに様子を伺っていた雅紀は
すっ飛んできた。
口には出さないけどさ、雅紀も双子も智にぃのこと
すごい心配してる。
もちろん俺も。
「この状態で階段は無理だって…」
智「ん〜…」
足を突っ張って、左手でテーブルの角を掴んで。笑
誰かさんそっくり。
だけどいつまでも甘い顔はしてないつもり。
「…ねぇ、そろそろいい加減にしてね…？」
智「…ん、ん…」
「智にぃの気持ち分かるから、隠してたこと
叱らないつもりだったけど。いつまでも分かんない
ことばっかするんだったら話は別だから」
智「…」
「そんな顔してもダメ」
潤んだ目でキッと睨んできたけど、そんなの全然
効き目ないし、怖くもなんともない。笑
「…布団いくよ？」
智「…」
雅「こっちから支えるね」
雅紀は優しくて気が利く。
今もちゃんと俺と智にぃのやり取りみて
タイミングみて…ささっと動いてくれる。
智にぃも左側を支えてもらって、その優しさに
気が付いているはず。
布団に寝かせたら、腕で顔を隠してしまったけど
まぁ良しとしましょう。
少し放っておく。笑
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作者名：空
| 作成日時：2017年2月18日 9時
