5人で生きてゆく…part50 (ページ36)

今日:6 hit、昨日:38 hit、合計:1,458,601 hit

2486.【2】ページ36

［潤side］

はっきりしない意識の中でも
覚えている翔にぃの「ごめんな…」って優しい声。

それから「もうすぐラクになるからな」って
頭を撫でてくれたこと。

ほんとはすぐにでも目を開けたかったけど
ボーッとした頭がそれを許してはくれなかった
から…

目を閉じたままされるがままに、薬を飲み込んで
着替えを終えた。

その後も傍にいて、頭を撫でてくれる翔にぃの
存在に安心して…

きっとそのまま眠ってしまったんだと思う。

「ん、ん…」

次に目覚めた時には、外が明るくなり始めてた。

熱も下がったみたいで、体の怠さも消えている。

隣には翔にぃがいて…

一人で不安だった時のことを思い出すと、涙が
零れそうになって、慌てて翔にぃのお腹の辺りに
くっ付く。

翔にぃの匂いがして安心する…

翔「…ん？」

「んん…」

俺のせいで起こしてしまったけれど、構わずに
顔をグリグリと押し付ける。

翔「…起きたか？」

大きな手が頭や首筋に当てられる。

翔「熱、下がったな…よかった」

「…ん」

翔「…顔見せて？」

抱き付いたままゆっくりと顔を上げたら
当たり前だけど、すっごく近くに翔にぃの顔が
あって、ちょっと恥ずかしい。笑

でもそんなことよりも、今は安心感が大きくて。

「くふふ…」

再び顔をお腹に埋める。

そしたら翔にぃはギュッと抱き締め直してくれた。

［智にぃside］

夜中に突然高熱を出したと翔から聞いた。

その日は大事をとって学校を休んで、ちょうど
仕事が休みだった翔が傍にいてくれた。

その時から何となく、潤の心の不安定さみたいな
ものは感じていけど。

夜も「翔にぃ一緒に寝よう？」って自分から
誘っていたから。

潤「…行っちゃうの？」

翔「お前も学校行けるよ？」

潤「…んーん、行かない」

翌日も、やっぱり不安定。

仕事に行こうとする翔を玄関まで追いかけていき…

翔「昨日安静にしてたから、もう大丈夫。
和と一緒に行っておいで？」

潤「んーん…いやだ…」

翔が診察してくれて、登校の許可を出したけど
行きたくないみたいで。

「早めに帰ってくるから」って言葉にも首を振る。

翔「何が心配？」

潤「…っちゃうのが、嫌だ…」

翔は時間を気にしながらも、ギリギリまで
潤と向き合ってくれたんだけど…

「様子見ておくから。とりあえず行っちゃって？」

翔「ん、ごめん。何かあったら連絡して
もらっていい？」

潤が納得してくれなくて…

潤「…っ、やだっ…」

結果、無理矢理に引き剥がした。