5人で生きてゆく…part50 (ページ31)

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2481.【行けない応援】ページ31

［雅にぃside］

和「注射はやだ！」

翔「これだけは飲み薬じゃカバーできないから」

和「やだ！」

2週間後に控えたフットサルの大会の予選。

1ヶ月以上前に、潤がメンバーに選ばれた時
「5人で応援に行きたい」って1番に言い出したのは
和だった。

ピンポイントで和の体調を万全な状態に
合わせるのは、不可能に近い。

でも翔にぃは、いくつか条件を出して「出来る
限りの事はしてみよう」って言ってくれた。

薬も苦手な物が追加されて頑張って飲んでいて。

2週間後に迫ったから、注射も追加される。

週の始めに1回ずつでいいみたいなんだけど、
注射が苦手な和にとっては高い壁…

腕を隠して「やだ！」って言い張る和に、翔にぃは
眉毛を下げて優しく笑う。

治療ではないから、強制ではない。

あくまで体調を万全な状態にもっていく為で
あって、注射を受けなくても、万全な体調って
ことも有り得るわけで。

翔「そしたら、とりあえずやめとくか…」

和「…行けなくなる？」

翔「いや。やめたからって行けなくなるって
決まったわけじゃねーから」

和「でも、行けるわけじゃない…？」

翔「そりゃ、そうだけど。でもそれは注射したから
って保証はないからな？」

和「んん…」

ラグにコロン…と転がった和は悩んでいるみたい。

［和side］

今度の大会はどうしても応援に行きたい。

「…んば、る」

翔「ほんと？注射がすべてじゃないから…」

「んーん。出来ること、全部やりたい」

翔にぃが俺のこと考えて組んでくれた薬だもん。

それでも、どうしても恐怖が勝ってしまうから…

智「大丈夫だよ、かず。力抜いてて…」

「…ん、…っ、ん…」

智にぃに後ろから抱えてもらってもガチガチの体。

翔「すぐ済むからな…」

智「頑張れ…」

ギュッと抱え込まれて刺される…

「…っ、ん、んくっ…」

ポロポロ涙が溢れてしまったけど、何とか
終わらせることが出来て。

だから試合当日、元気に迎えられるって
信じてたのに…

「…っ、なんで…」

体が熱い感じがして、不安になって一人で検温
したら…

体温計には39.3℃の表示。

頭の中に真っ先に浮かんだのは『隠さなきゃ…』
ってこと。

いつも潤には、俺のせいで我慢ばっかりさせて
いるんだもん。

「みんなで来てくれるの嬉しい」って笑顔の潤を
悲しませたくはない。

それなのに…

翔「かーず？ちゃんと計った？…熱あるよな？」

「ん～…ない」

朝の体調チェックに来た翔にぃに、あっさりと
見抜かれた。