2462.【2】 ページ12
［先輩side］
智くんが出ていくのを
一生懸命に目で追いかけていた翔くん。
翔「…っ、ん…」
「無理するから…笑」
頭を上げた姿勢を保ったせいで、気持ち悪く
なってしまったみたい。
グテッとベッドに倒れ込んだ。
目の上にホットタオルを当てながら落ち着くのを
待って、まずはもちろん説教。笑
「何が原因？ダイエットでもしたか？」
翔「…」
「偏った食生活？ちゃんと食ってなかったんじゃ
ないのか？」
翔「…」
一向に応答がないから目の上のタオルを
取り上げたら「あっ…」って。笑
ここのとこ忙しかったから…
家でご飯を食べずに、適当に済ませて
いたんだろう。
食堂とかコンビニで済ませようとすると、
どうしても偏った食事になってしまうからね…
「しばらく鉄剤飲んで様子見」
翔「でも…」
「大丈夫。ちゃんと吐き気止めの薬も、点滴で
入れてやるから」
翔「…りがとうございます…」
鉄剤は人によっては副作用がある。
翔くんは前に服用した時に、吐き気の副作用で
酷く苦しんだから。
入院も嫌だけど、鉄剤の副作用に怯えていることは
最初から分かってたよ。笑
［潤side］
コンコンコン…
智「失礼します…あ、寝れてますか？」
病室に到着したら、ベッドサイドに先生がいて
翔にぃは寝息を立てていた。
先「軽く鎮静薬入れたから。当直明けだったしね」
智「ありがとうございます」
フニャッと笑った智にぃが手招きしてくれる。
先「潤くんと和くんも心配したと思うけど
大丈夫だからね」
先生の優しい笑顔を見たら安心したから…
「ありがとうございます」
お礼を言ったんだけど…
和「せんせ…？家に、帰して、欲し…」
和の不安は取り除けなかったみたい。
先生は和の手を取って椅子に座らせると、正面に
座った。
智にぃと俺に「大丈夫だから」って伝えてから
和にゆっくりと話をしてくれる。
「ごめんね、和くん。それはできないんだ」って
言葉に、始めはポロポロと涙を流していたけれど…
「家で鉄剤の服用をさせてしまうと、副作用の
吐き気で辛い思いをしてしまうから」
「病院にいたら、吐き気止めの薬を点滴して
あげられるんだよ」
先生が一つずつ、今の和にも伝わるように
分かりやすく話してくれて…
先「お家で待てそうかな？」
和「…ん」
だんだん不安な表情が消えていって、最後には
笑みも見せてくれた。
智「よかったね、かず」
コクンと頷いて、智にぃにピタッと寄って。
よかった、よかった…
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作者名：空
| 作成日時：2017年2月18日 9時
