5人で生きてゆく…part50 (ページ33)

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［和side］

翔「かーず…？
…分かるか？」

「んん…」

目を開けたら白い天井、見慣れた病室。

キョロキョロとしてみたけれど、翔にぃ以外は
誰もいなくて…

発作を起こして倒れて運ばれて…翔にぃが
居てくれてよかった。

「残ってくれてありがとう」って言うべきなのに
口から出てきたのは「何で行かなかったの？」って
酷い言葉。

「行ってって言ったのに」

「やっぱり俺は潤の邪魔ばっかりする」

「頑張ったって何にも上手くいかないじゃん」

俺を落ち着かせようとする翔にぃを無視して
色んな言葉をいっぱいぶつけちゃった…

そのうちに過呼吸になって、カウンセラーもきて
呼吸を整えてくれたけど、辛かったから
そのまま目を瞑った。

どのくらい時間が経ったのかは分からないけど
智にぃと、雅にぃと潤が病室に来てくれて。

気配は感じていたし、声も届いていたけれど
それを無視して目を瞑ったまま過ごした。

3人を目の前にしたら、また酷い言葉を言って
傷付けてしまうかもしれないから…

［智にぃside］

病院に向かっている途中に翔から「目を覚ました
和が自分を責めて過呼吸になってしまった」と
LINEがきた。

頑張った分だけ、ショックな気持ちも大きい
だろうな…と思うと、和のことはもちろん
心配だけど、翔の気持ちも心配になる。

潤の応援に100%行けるって保証はなかったけれど
全力で頑張ってくれていたから…

「少しそっとしておこうか…」

翔「…ん」

俺らが病室に入って声を掛けても、和は目を閉じた
まま反応しなくって。

しばらく放っておいたら、寝息を立て始めた。

「翔？…ちょっといい？」

雅紀と潤に、和の傍にいてもらえるように頼んで
翔を談話室へと連れ出す。

向かい側に座らずに、隣に座って肩を抱いたら
徐々に背中が震え始めた…

「翔が責任感じることないからね。誰もどうにも
出来ないことなんだから…」

翔「…っ、んっ…悔し、い…」

「ん、悔しいね…翔と和の頑張りが報われないのは
俺だって悔しい…」

翔「…っ、…俺に、もっと力があった、ら…」

「んーん、そうは思わないよ。だって翔のお陰で
和が笑顔で居られる時間、増えてるもん」

翔「…っ、…うかな」

「ん、そうだよ」

今はすぐに「そうだね」って納得は出来ないかも
しれないけど…

肩をギュッと抱き締めて、今は2人での時間を
大切にする。

潤の試合にみんなで応援に行くって決まってから
ずっと頑張ってくれていたからね。

翔に感謝してるんだ、俺らは。