2446.【長男の咳喘息】 ページ46
［智にぃside］
ケホッ…ケホケホ…
風邪をひいてしまったみたいで、咳が出る。
翔に相談して薬をもらおうかとも思ったけど、
咳くらい平気だろう…って思ってしまうのが
正直なところで。
2.3日放っておいたけど、どうも回復しない…
仕事をしたいのに咳が邪魔してくるからイライラ
しちゃって。
いけないことだと思いながらも市販薬を買いに
近くの薬局まで行ってしまった。
翔にバレたら何て言い訳しようか…なんて
考えながらレジに並ぶ俺は。笑
「ケホッ…ケホケホ…」
その薬を飲み始めて3日くらい過ぎたのに
風邪は治ることはない。
でも熱が出るわけじゃなくて、ひたすらに咳だけ。
今さら翔に相談するわけにもいかなくって。
変な気持ちと、意地。
みんなが揃う場面ではなるべく咳を押し殺して
部屋ではタオルに顔を押し付ける。
そんな状態で仕事が捗るはずもなく、昼間一人で
仕事をしているとイライラ。
悪循環だよね…
思うように進まない仕事と、治ってくれない咳。
「…ケホッ、ケホッ…んだよ、もう…」
ゆっくりも眠れなくて枕に顔を押し付けながら
不満の言葉を口にする。
止まらない咳と格闘を続けていたら…
トントントン…
部屋をノックする音。
やべぇ…翔のこと起こしちゃったかなって。
「…ケホッ、なに…？？」
咳を堪えて必死に絞り出した一言。
「入るよ？」って言葉の共に顔を出したのは
やっぱり翔で。
「…」
タオルを口元に押し付けて咳の波が去るのを待つ。
翔「もう…無理しなくていいって」
「…」
翔「すげぇ、涙目。笑」
笑いながら寄ってきた翔は、俺の背中に手を回して
体を少し起こして「この方がラクだから」って
枕を挟んでくれた。
「…っん、ごめん。急に咳がでた…」
ラクになってきて出てきた言葉は、この状況から
逃れる為の言い訳で。
翔「ん？急に？笑」
視線をバッチリ合わせられるけど、逃れるように
逸らしながらコクンと頷く。
翔「俺はちょっと前から、智にぃの咳が気に
なってたけど…？」
「…」
やべぇ…笑
翔「まさか市販薬とか飲んでないよね？」
「…」
わぁ…どうしよう…笑
翔「この状況で黙りは卑怯じゃない？」
「…」
翔「…せめて、こっち見て」
顔を覗き込まれたら、もう逃げられない…
ん〜…なんて言い訳しよう。
翔「智にぃがそうやって逃げるんだったら、
叱るからね」
「…」
あぁ…ごめんなさい。笑
状況に堪えられなくて、目を閉じる。
寝ちゃおうかな…笑
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2543人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空
| 作成日時：2016年12月23日 9時
