2428.【5】 ページ28
［雅にぃside］
和がイライラしてて
感情を抑えられなかったのは分かる。
でも…加減て大事だし、相手にも気持ちが
あることを学んで欲しい。
もちろん『境遇が特別だから』って甘やかすことは
いくらでも出来るけど…
和「…っ、んっ…んくっ…」
こいつには、そんな特別扱いは必要ないと
思うから。
病気のせいで、人よりイライラすることが多いかも
しれない。
辛い思いも沢山していると思う。
でも、だからこそ学べたことも沢山あって
繊細な気持ちもあって、優しくて…
そんな和なら、一つずつ乗り越えていけると
俺らは思ってるんだ。
和「…っ、ん…」
それから30分くらいは経ったかもしれない。
落ち着いてきた和はその場に座って「…じゅん」
って小さい声だけど、自分から動きをみせた。
それに「ん？かず、なに？」って、本当に優しく
応えてやる潤。
和室の襖のところから身を乗り出して、少しでも
和の気持ちに応えようとしてくれて。
そんな姿を見て、和の目からは再び涙が
ポロポロと零れてきたけど…
和「…っ、んっ、…つ当たり、…て、ごめん、ね」
「八つ当たりしてごめんね」「ぶってごめんね」
「コップ壊してごめんね」って。
言葉だけ聞いていると小学生のやったこと
みたいだけど。笑
和「…っ、…ゅん、の気持ち、ごめん、ね…？」
潤「ん、大丈夫。分かってるから…」
2人の間には、俺らには到底分からない何かがある。
やっぱり双子って特別なんだなって…
和「…っ、ん、んくっ…」
やっと謝ることが出来て、ホッとしたんだろう。
堰を切ったように泣き出した和。
頬っぺたを綺麗な涙が途切れなく流れていく。
そんな和の傍にゆっくりと歩み寄った智にぃ。
智「かず…」
和「…っ、んくっ…とにぃ…」
智「自分から行動できたね…」
隣に座ってそっと肩を抱いたら「…ん」って
声を漏らしながら胸元に顔を埋めている可愛い奴。
少し落ち着いてきたタイミングで、智にぃは
和を体から少し離して、涙を拭ってあげる。
智「今度はさ…八つ当たりしそうになった時、
一呼吸おいてみようね」
和「…っ、…き、る…？」
智「ん、できる。和になら出来るよ」
和「…ん、…んば、る」
俺ら3人に厳しく叱られて逃げ場がなくても
自分で行動を起こせたことは、和の今後に
繋がっていくと思うんだ。
本人も、どこかスッキリした表情をしているから…
どうしても受け止めきれない時は、ぶつかってきて
いいからね。
全力で受け止めるよ。
END
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作者名：空
| 作成日時：2016年12月23日 9時
