2421.【3】 ページ21
［智にぃside］
翔が早めに和の
病室に来てくれたから、俺は着替えを取りに
一旦家に帰ることにした。
もしかしたら家に帰った潤のことも、ついでに
乗せてあげられるかな…とも思って。
だから途中でLINEしたんだ。
『まだ家にいるんだったら、あと10分くらいで
着くから家で待ってて』って。
家に着いて駐車場に車を停めた時に確認したら
まだ既読にはなっていなくて。
焦る気持ちがあるだろうから、荷物を置いてすぐに
病院に向かったのかもしれないな…と思った。
それならもう病院に着いている頃だしね。
でも、車を降りようとドアを開けて気が付いた。
家の中であらしが激しく吠えている…
普段は出さないような声を出して精一杯に。
何かあったことは明確で…
「あらし！！どうしたっ？」
勢いよくドアを開けて家の中に駆け込んだら
ケージの前で潤が意識を失っていたんだ…
砂埃がついた洋服。
擦りむいたようなほっぺ。
急いで翔に連絡をして指示を仰ぐ。
考えられるのは帰宅途中に転んだんじゃないか…
ってことくらいで。
転んだ時に頭を打ったのが原因で倒れてるかも
しれないから、すぐに連れてきて…って。
潤を抱き上げて後部座席に寝かせて病院へと急ぐ。
［翔にぃside］
検査を終えて、特に異常も見つからずベッドの上で
目を覚ました潤。
何があったのかは口にしようとせずに「医者には
ならない」ってことだけを呟いて、その後は
俺らを拒否。
和が「ごめんね」って謝ったけど「和のことは
関係ないから気にするな」って呟いて
布団に潜ってしまった。
なす術なく、時間だけが過ぎてしまって。
雅紀も合流したのに、状況すら説明出来ない状態。
そんな時に助けてくれたのは双子の友達だった。
病院を訪れてくれた友達4人は談話室で待っていて
くれて。
第一声が「ごめんなさい」だった。
和がパニックを起こした時の状況。
和が潤のことを拒否して、潤もパニックを
起こしたこと。
下校しようとした潤に上級生達が近付いていって
何かトラブっているみたいだった…と。
智「心配になって教えにきてくれたんだね…？」
友「はい。何も出来なくて悔しかったから…」
智「十分だよ。いつも2人と仲良くしてくれて
ありがとう」
智にぃの心からのフニャッとした笑顔に、最後には
その子達も安心したみたいで。
「元気になったらまた遊びます」って
笑顔で帰って行った。
雅「良い仲間に恵まれてるね」
「ほんとだな…」
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作者名：空
| 作成日時：2016年12月23日 9時
