2416.【2】 ページ16
［雅にぃside］
もう3日間、智にぃは
まともに食事をしていない。
高熱も続いているし、吐き気もあって辛そうで…
智「いい…あっち、いって…」
それなのに翔にぃの言うことも聞かないし
点滴も「やらなくて大丈夫」の一点張り。
翔「智にぃ？病院行こう。このままだと体が
もたないから」
智「…いやだ」
翔「悪化したら、その分長引いちゃうし。
今のうちに。ね？」
智「やだ…」
双子が学校に行っている間に病院に連れ出す。
和と潤には今朝、翔にぃが話をしてくれたから
大丈夫。
問題はこの人だけ。
智「…やだ。動きたくない…」
もう、ほんと頑固者。笑
とりあえず病院に連れていこうっていうのが
翔にぃとの作戦なんだけど…この様子じゃ、入院
って分かったら大変そう。
翔「ほら、上着羽織って？」
智「…っ、やぁだ…」
手を振り払って俯いた智にぃを吐き気の波が襲う…
智「…っ、おぇっ…」
翔にぃが口元にタオルを当ててあげながら
「このままだと良くならないよ？」「病院で
ちゃんと治療しよう？」って説得。
智「…っ、ん、おぇっ…」
口を濯がせてもらった智にぃは項垂れているけど
「いやだ」とは言わなくなった。
病院に着いてもそれは変わらずで、診察もここ
最近では一番素直に受けていたんじゃないかな。笑
車椅子を用意されて「なんで？」って不思議がって
いたけれど「次の患者さんくるから早く座って」
って急かされて、ワケも分からず座って病室に
連行された。
智「…いやだ、帰る…」
翔「駄目だよ、智にぃ。脱水症状も起こしてるし、
点滴して入院で様子見よう？」
智「やだ…」
高熱で真っ赤な顔して辛そうなのに、またまた
「いやだ」しか言わなくなって。
翔「嫌でも入院。それは変えられないから」
きっぱり言い放った翔にぃを睨んでいる智にぃ。
でも翔にぃは一切怯まない。
翔「点滴用意してくるから、ここ頼んでいい？」
バタン…
扉が閉まっても、一点を見つめたまま。
「みんな心配してるしさ、ちゃんと治療して
さっさと治しちゃおう？」
車椅子をベッドの方に向けて布団を捲ったら
「…ん」って微かに頷いた。
フラつく体を支えながらベッドに寝かせて
胸元をさすっていたら翔にぃが戻ってきて。
翔「ありがとな、雅紀」
「ん、頑張るって。ね？」
智「…ん」
ちょっとムスッとしてる気もするけど「点滴
するから左腕ちょうだい」って言われれば
きちんと従うし、もう大丈夫でしょう。
頑張って治そうね。
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作者名：空
| 作成日時：2016年12月23日 9時
