5人で生きてゆく…part49 (ページ1)

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2401.【両親の死と長男の思い】ページ1

［智にぃside］

『キキーッ…』

『…ッドーン…』

…

「…っ、また、だ…」

ここのとこ連日で、父ちゃんと母ちゃんが
事故に遭った時の夢を見る。

俺は事故の現場を見ていない。

警察の人から聞いた情報で、自分なりに
イメージしてそれで終わってる。

頭に何度も浮かんでくる大破した車。

病院で眠っていた父ちゃんと母ちゃん。

「…っ、んっ、ん…」

頬を流れる涙は朝まで止まらない。

そんな日が続いたから寝不足で…

でも、夜になって眠ろうとしても眠れなくて…

言い表しようのない不安と戸惑い。

自分でもよく分からない感情で、どうすることも
できないまま時間だけが過ぎていく…

ピピピッ…ピピピッ…ピピピッ

携帯のアラームが鳴ったけど、体を起こせない。

不眠からくる頭の痛さと気持ち悪さ…

「弱っちぃな…おれ…」

悔しさを言葉にしたら、余計に虚しくなった。

トントントン…

「…」

翔「…入るよ、智にぃ？」

いつもなら起きている時間だからか、翔が心配して
部屋にきてくれた。

翔「…大丈夫？体調悪い？」

「ん…ちょっと頭が痛い」

どうして頭が痛むのかは言えずに…

でも体調不良を隠せるほどの余裕はなかったから。

額に手を当てた翔は「微熱あるかもね」って
顔を曇らせる。

その真剣な表情を見たら、弱音を吐いてしまい
そうになって慌てて「お弁当、間に合わないや」
って話を逸らす。

翔「いいよ、大丈夫。学食代渡しておくから」

「でも…」

翔「大丈夫。後でゆっくり診察するから。
今はとりあえず微熱って伝えておくね」

この時、すでに翔は何かを感じとっていたのかも
しれない。

けれど無理矢理に聞き出そうとしたりせず、
3人が出かけて行った後に、診察をしてくれた。

翔「今日は安静にしててね。途中で辛くなったら
連絡して？外来ないから基本いつでも出れるから」

「…ん、ありがとう」

しばらくしたらガチャッ…って、玄関のドアが
閉まる音。

なんだか寂しくなって目を閉じる。

頭の中をグルグルと回るのは、父ちゃんと
母ちゃんが事故に遭った日のことで…

『いってきます』

2人の笑顔。

『ピッピッピッピッ…』

病室に響く機械音。

「…っ、んっ、…っ…」

夢を見たわけではないのに、涙が零れて
止まらなくなった。

そんな時にLINEに翔からメッセージ。

『体調どう？』

不安な思いに駆られていた俺は思わず…

『辛いよ…』

そう返信していた。

こんな気持ち、一人じゃとても抱えきれない…