2399.【4】 ページ49
［雅にぃside］
智にぃと翔にぃが
部屋から出ていって暫くしたら、俺の腕の中で
もがき始めた和。
「こないで…」「こわい…」って首を振って
泣き出してしまって。
「かず？怖い人いないよ。見て？俺しかいない」
和「…っ、や…、こない、で…」
目をギュッと閉じてしまって、俺のことを拒否。
必死になって手で払い除けてくるから、体から
離して一度ベッドに寝かせて、その状態で
声を掛けてみる。
和「…っ、や…、…んにも、…ない、で…」
「大丈夫…誰も何もしないよ」
和「…っ、んくっ…、きた、ら、こわい…」
「こないよ。怖い人はもうこない」
胸元をさすりながら否定を続けていたら、再び
眠ってくれた。
ただでさえ苦しんでいるのに、あの先生の存在が
和のことをもっと追い詰める…
「ごめんね、かず…」
堪らなくなって腕の中へ。
無意識なのか服をギュッと握ってきて可愛い…
そのままトントンと背中をたたく。
「今ね、眠ったとこ…」
「潤が落ち着いたから」って智にぃが
来てくれたから、さっきのことを伝えて。
そしたら「和室に連れていこうか」って。
そっと抱き上げても寝息を立てていて
ますます可愛い。笑
「また痩せたね…」
さらに華奢になった体をしっかりと腕の中へ。
和室の布団に寝かせてから、潤の元へ。
翔「寝てんのにさ、止まんねーんだよ…」
翔にぃは呟きながら、潤の目尻から流れてくる涙を
タオルで優しく拭ってあげてる。
「そっか、そっか…辛かったんだね…」
髪の毛に触れただけで高熱なのがよく分かる。
「潤のことも一番に思ってるからね…」
気が付いたら口から飛び出していた言葉…
翔「目覚めたら、また言ってやって？」
「…ん」
翔「口には出さないけど、俺らの気持ちが全部
和にいっちゃって、寂しさも不安もあったんだと
思うから…」
智「そうだね。雅紀の真っ直ぐな気持ち、
届きやすいと思うから」
「…ん、分かった」
俺らは双子に優先順位を付けたことはないけれど、
潤が寂しさを感じる原因を作ってしまった自覚は
ある。
「夢の中で、泣いてんのかな…」
翔「そうかもな…」
潤は、現実の世界で我慢している分、夢の中で
思いきり泣いているのかもしれない。
拭っても拭っても目尻からは涙が零れてきて…
「隣、寝転んでもいい？起きちゃうかな？」
夢の中だとしても、潤を抱き締めたくて
にぃ達に聞いてみる。
智にぃも翔にぃもすぐに優しく笑って「起こしても
いいから寝てやって？」って。
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作者名：空
| 作成日時：2016年10月26日 18時
