2309.【潤の無気力症候群】 ページ9
［翔にぃside］
ブクブクブクっと
浴槽に顔を沈めて楽しそうな和。
ここのとこ調子が良さそうで安心。
横目でそんな和を見ながら髪の毛を洗っていたら
「ねぇ、翔にぃ？」って。
可愛らしい声を出しやがる。笑
「ん〜？」
何かのおねだりかな…とか思いつつ、適当に言葉を
返したら「潤がね、ちょっと変なの」って。
「…ん？どういうこと？」
よくよく話を聞いてみたら、授業に集中できてない
感じがするんだとか。
和「ノートも書いてなくって…
ボーッとしてることが多いの」
「分かった…気に掛けてみるから。な？」
和「ん…お願い」
俺らは気が付かないほんの少しの変化に
気が付くのはやっぱり和だ。
フットサルも楽しそうにやってるし、家で和と
ゲームしているし、食欲もある。
パッと見た感じでは何も変わらない。
でも和が異変を感じたならきっとどこかにヒントが
あるはず。
そう思ってかなり注意深く行動を確認して数日間。
「遅刻するよ？潤？」
なかなか起床しないのはいつものこと。
怠そうに起き上がった潤だけど、朝食はきちんと
食べて身だしなみもOK。笑
「いってきます！」って玄関で靴を履いている。
「気を付けて行けよ」って何気なく持ち上げた
鞄に違和感…
「軽すぎじゃね？教科書は？」
潤「…学校」
「置きっぱなしなの？全部？」
以前と比べたらあまりに軽い。
和なら分かるんだけどさ…笑
前にお弁当とお菓子とDSしか入ってなくて
叱ったことあるし。
でも潤が教科書を一冊も持ち歩かないってのは
ちょっとおかしい…
バツが悪そうに俺から目を逸らしたままバッグを
奪い取った潤は「遅刻するから行く」って
飛び出していった。
バタン…
乱暴に閉められたドア。
智「何かあった？」
心配して玄関まで来てくれた智にぃに相談して
みる。
和が心配していることはみんな知ってるから
もしかしたら、そのことに繋がるんじゃないかって
話をしたら「俺も気を付けて見てみる」って。
そんな話をしていた矢先に、智にぃの携帯に
潤の担任の先生から電話。
どんどん表情が曇っていくのが分かる…
最後は「ご心配お掛けして申し訳ございません」
で切られた電話。
「…先生、なんだって？」
智「潤の様子、おかしくありませんか？って。
先週からどの教科でも一度も宿題とかレポート
提出してないんだって。昨日の英語の単語テストは
未回答だったって…」
担任の先生の話によると、教科書を持参してこない
教科もあるらしい…
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作者名：空
| 作成日時：2016年9月4日 17時
