2347.【2】 ページ47
［智にぃside］
和の傍で、
潤は毎日泣いていた。
そんな日が続いたんだから、潤の体に異変が
起こるのは当たり前のことなのに。
俺らはそれに気が付いてやれなかった。
雅紀から「潤、熱あるっぽい」って言われて
駆けつけたのは、和の体調が回復に
向かい始めた頃。
潤「…いじょうぶ。ちょっと気持ち悪い…」
「トイレいく？」
潤「…っ、ん…」
コクコク頷いた潤を支えてトイレに連れていく。
確かに体はほんのり温かい。
「熱もあるんじゃない？」
潤「…っ、へいき」
トイレの入り口で額に手を当てたら、嫌がって
避けられた。
隠したいんだろうね。
案の定、トイレから出てきてすぐに「翔にぃと
和には言わないで」って口止め。
「もう隠さなくていいんだよ、潤。
ずっと前から、体調崩してたんでしょ？」
潤「…っ、んくっ…、ちが…」
「ふふ。違くないよ」
ちょっと強引に抱き締めたら、嗚咽が止まらなく
なった。
「いっぱい心配だった…」って。
「ずっと不安だった…」って。
俺はただ「そうだよね」って言うことしか
できない。
潤の体調の異変に気が付いてやれなくて、
悪化してしまったんだ。
「翔？ちょっといい？」
雅紀に和の傍を代わってもらって、翔を潤の
部屋へと連れていく。
潤「…っ、来なくて、いい…」
潤は布団の中に潜ってしまったけど、翔はすぐに
状況を分かってくれた。
翔「どこ辛い？」
潤「いい…」
翔「和はもう大丈夫だから。な？」
翔は布団の上から潤の体をそっとさすって…
それから「気が付いてやれなくてごめんな？」って
優しく謝った。
それに対して潤は「俺が隠してたから…」って。
翔には自分を責めてほしくないんだろう。
大好きな尊敬する兄ちゃんだもんな。
翔「ちょっと診させて？」
潤「んん…」
布団を捲くられたら、少し不安顔。
だけど目尻の涙を翔が優しく拭って「辛いとこ
治してやるから」って笑い掛けたらコクリと
頷いてくれた。
翔「37.5℃。怠い？」
潤「ん、少しだけ…」
翔「膝立ててくれる？」
潤「…ん」
進んでいく診察。
お腹の触診をされた潤の顔が、どんどん曇って
「痛いから、押さないで」って、ついには
翔の手を掴む。
翔「これだけでも痛い？」
潤「んん…、やめて…」
手首を掴まれた翔が構わずに軽く押したら、
潤の目には涙が溜まり始めて…
潤「やだ…」
翔「あぁ…ごめん。もうやらないから」
翔が焦る。笑
俺が思っていたよりも、潤の体調は良くない
みたい。
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作者名：空
| 作成日時：2016年9月4日 17時
