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［翔にぃside］
智にぃ以外の
4人の気持ちは一つ。
いつも、兄弟の中心として頑張ってくれている
智にぃ…
少しでも支えたい。
少しでも力になりたい。
少しでも元気になって欲しい。
そんな気持ち。
雅「パンが嫌なら、ご飯もあるよ？どうする？」
智「…」
ご飯の時間がくる度に、智にぃの気持ちは
落ち込み気味で「いらない」って言うことも
あるけれど…
和「ハロウィンのパン買ってきたよ〜」
潤「一緒に食べよう？」
その時々で、誰かがフォローしつつ、智にぃの
気持ちに寄り添う。
順番を決めたわけでも、計画したわけでも
ないけれど、俺らの息はピッタリだ。
雅「あ、カボチャのパイ美味そ〜」
和「雅にぃは選んじゃダメ〜！笑」
雅「なんでだよ！！笑」
和「きゃはっ！！智にぃが先なの〜！」
ワチャワチャやる2人の横で、潤が智にぃの手に
優しく触れて「どれ食べたい？」「ご飯の方が
いい？」って優しく問う。
智「…れ」
震える手で指差した先には、コウモリ型の
クリームパン。
潤「これ、俺が選んだの！」
智「んふふ…」
潤「美味しそうでしょ？」
智「ん、ありがと…」
両手でコウモリパンを持って、カプッと一口。
智にぃは「優しい味…」って口角を微かに上げた。
そんな感じで、智にぃは少しずつ食べ物を
受け入れることが出来るようになりつつある。
まだまだパクパク食べるところまでは、ほど遠い
けれど、それでも吐くことはなくなったし、
義務的に食べることもなくなった。
和「あ、やった！！今日、トンカツだぁ〜♪」
潤「くはっ！美味しそ〜♪」
もちろん食事作りは続けてくれていて、双子や
俺らが好きなものを作ってくれる。
「智にぃの分も少し用意しようね」
智「あ、うん…」
まだまだ自分のご飯を用意しようとは
しないんだけどね。
そこは俺がコントロール。
みんなが分けてくれたトンカツを
智にぃ用のプレートに盛り付けて、みんな揃って
「いただきます」をする。
「うめぇ〜」
雅「すっごい美味しい！！」
智「んふふ…よかった」
トンカツを頬張る俺らを見て、優しく笑う智にぃ。
痩せ細っていた頬は少し丸みを帯びてきたかな。
和「智にぃも食べてみて？」
智「…ん」
箸を持つ手の震えもなくなって、笑顔のまま
パクリと食べることも出来る。
ゆっくりだけど、確実に回復の方向に進んでいる
智にぃを見ていると嬉しくなってしまって。
「翔にぃ、顔にやけてるよ。笑」って
何度言われたことか。笑
END
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作者名：空
| 作成日時：2016年9月4日 17時
