2328.【4】 ページ28
［和side］
なんとしてでも
潤のことを庇いたかった。
逆の立場だったとしても、潤が俺のことを
庇ってくれたはずだから。
だから、気にしなくたっていいのに…
潤が自分を責めて苦しんでいるなんて
知らなかった。
俺はただ、気持ち良く寝ていたから…
どこも痛くなくて苦しくない。
暑くもなく、寒くもなく丁度良くって…
ウトウト眠って心地が良くて。
ラクちんだから、ずーっとこのままでも
いいな〜なんて。
呑気なことを考えてたんだ。
そしたらどこからか聴こえてきた潤の声。
その声は泣いているような声で、鼻声っぽく
感じられる…
姿は見えないけれど『潤もこっちにおいでよ』
って声を掛けてみる。
そうすると『かず…』って、さらに大きく
呼び掛ける声が聞こえるんだ。
だんだんと、これは夢なのかな…って思うように
なってきた。
だとしたら早く目覚めて、潤の元に行かないと
いけないよね。
もし泣いているんだとしたら、慰めてあげないと。
ああ見えて、潤は繊細で泣き虫だから…
夢から目覚めたら言ってあげるんだ。
『どうしたの？泣かなくていいんだよ？』って。
お兄ちゃんらしいとこ、見せてあげなきゃ…
［翔にぃside］
潤はひたすらに和の名前を呼び続けていた。
涙声で一生懸命に『かず』『俺が代わるから
戻ってきて…』って。
俺らには甘えることもできない状態だから
精神的にはかなり不安定。
でも『和の傍にいたい』って思いだけは
揺るがない。
先「痛くないか？平気？」
潤「…」
点滴を抜こうとするから、かなりガッチリ包帯と
テープで固定されている。
先輩は何度も様子を見にきてくれて、ムレたり
していないか、締めすぎてないか…確認して
くれる。
もちろん潤からの返答はないけどね。
潤「…っ、んくっ…か、ず…」
潤があまりにも泣くから、和が心配して
目を覚ましてくれるんじゃないか。
和は、弟思いの優しい兄ちゃんだから…
そんな可能性を信じ始めた頃、和の手が
ピクリ…ピクリと動きを見せるようになって。
潤「…かず？」
「もっと呼び掛けてみて？」
潤「かず！かず…」
智にぃや雅紀も加わってみんなで呼び掛けたら
ゆっくりと開いた目…
潤「かずっ！！」
ガバッと潤が抱き付いたら、和の目がゆっくり
動いて潤を捉えた。
口が小さく動いて…
和「…か…いで？」
潤「…っ、んくっ…泣いて、ねーよ…」
雅「あひゃ！よく言うよ。笑」
智「んふふ…ほんとに。笑」
潤の思いがやっと届いた…
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作者名：空
| 作成日時：2016年9月4日 17時
