2312.【4】 ページ12
［潤side］
カウンセラーと話をして
病院で診断が出て。
自分では気力を無くしたつもりなんてなかったけど
病名を言われてしまうと心に重くのしかかる…
それまでは焦りも不安もなくって、夜も普通に
眠れていたのに。
病院に行ってきた日の夜は、なかなか寝付けなくて
何度も寝返りをうって、やり過ごしてた。
そしたら、翔にぃが部屋まできてくれた。
「寝れてないんじゃねーかなって思って」って。
「ん…眠れなく、なった…」
優しい翔にぃの眼差しが嬉しくて、素直な一言が
出た。
翔「ここ、座っていい？」
「…ん」
みんなには翔にぃが話してくれたから、まだ
きちんと話しは出来ていなくて。
できればしたくないな…って思いが頭の中に
広がっていく。
余計な心配は掛けたくない。
何ともないんだったら、やっぱり大丈夫なんじゃ
ないかって思いも。
翔「少しは自分で分かる？無気力になった原因」
「…」
カウンセラーにも聞かれたんだ。
「心当たりはある？」って。
でも俺は答えなかった。
だって、こんなことが原因だなんて断定したくは
なかったから…
「…っ、…がう」
翔「大丈夫。泣かなくていいから…」
「…っ、んくっ…んなこと、原因じゃ、ない…」
俺はそんなに弱くない。
否定しながらポロポロ泣いている間も、翔にぃは
ずっと傍にいてくれた。
「…っ、パソコン、見てた、ら…」
翔「…ん」
「…っ、んくっ…死んじゃっ、た…」
［翔にぃside］
潤が泣きながら話してくれる言葉を繋いでいく。
潤と同じように、兄弟が病気で主治医をした後、
研究者になった人のブログをパソコンで
読んでいたらしい。
そしたらその兄弟が亡くなってしまったと…
そう報告があったんだって。
『いくら勉強したって役には立てなかった。
医者になっても、研究者になっても、結局…
大事な人1人、救うことができなかった』
ブログの最後はこう綴られていて…
これを読んだ潤は知らずのうちに、勉強することの
意味を見失ってしまったんだな…って。
潤「…っ、んくっ…助けた、いの、に…」
「…ん、そうだよな」
カウンセラーに言われたんだ。
「一番身近な目標とする人は翔くんだから。
翔くんが『今のままで十分』って思いで、どっしり
構えて、沢山甘えさせてあげて？」って。
「おいで、じゅん…」
肩を抱くようにしていたけれど、思い切って
両手を広げてみる。
バフッ…
よかった…
抱き付いてくれた潤を愛情いっぱい抱き締める…
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作者名：空
| 作成日時：2016年9月4日 17時
