2008.【8】 ページ8
［和side］
「…ん、んぅ…」
いつの間にか眠っていたみたい…
おでこに誰かの手が当てられて目覚めた。
手の感じが翔先生ではなくて…
でもそれでも翔にぃを求めてしまう。
「…っ、…ん、…ょ、にぃ…？」
先「…ん、ごめんね、かずくん…」
「…っん、…んくっ…」
まだ来てくれないの？
どうして来てくれないの？
先生の手が優しく何度も頭を撫でてくれて
それから智にぃに「少しずつ、熱が下がってくると
思うから」って伝えてる。
先「かずくん…？頭、痛いね…」
「…っ、…ん。…んで、わかる、の…？」
先「はは！魔法の手だからかなぁ〜。笑」
先生はふざけてるけど、俺が小さい頃から
そうだった。
俺が『辛い』って言わなくても分かってくれて
「ここ、痛いね…」って、「こっち、辛いね…」
って、大きな手で撫でてくれた。
「…ん、せい、…めんな、さい…」
こんなに優しくしてもらっているのに
俺は先生より、翔先生を求めてしまう。
何だか申し訳ない気持ちになって…
だけど先生は優しく笑って俺の手を握って
「謝らなくていい。和くんが翔先生を信頼して
先生でいて欲しいって気持ち、よく分かるから」
そう言ってくれた。
先生にとっても、翔先生は特別なんだって。
だから翔先生が必要とされるのは、すごく嬉しい
気持ちになるんだって。
「…っ、…んっ、…きて、ほし…」
先「もう少しだけ、待っててあげてね…」
「…んっ、んくっ…、…っ、…っ…」
先「大丈夫。会えるから。ゆっくり呼吸して…？」
息が苦しくなって手を伸ばしたら、先生は俺の
手を取って智にぃに握らせた。
智「かーず…だいじょーぶ。」
「…っん、…っ、…っ、…っん…」
智「体、少し起こそうね。いっぱい泣いたら
苦しくなっちゃうから…ね？」
ギュッと抱きしめられて少し落ち着く。
智にぃの匂い…
智にぃの大きな腕にギュッとされると
全部を委ねても大丈夫な気がするから…
先「熱が下がる頃には、翔くん連れてくるから。
話、聞いてあげてね？」
「…ん。…っ、ん、きく…」
先「よしよし。いい子だ。笑」
先生の手は、翔先生の手よりちょっとでっかい。
それで、少しゴツゴツしてる。笑
先生が言うには「鍛えてるから！笑」らしい。
智「翔が来たら、ゆっくり話聞こうね。
涙が出ちゃってもいいけど、息はちゃんと
吸うこと。約束ね？」
「…っん、…わか、った」
過呼吸になったら翔にぃが話せなくなっちゃう
もんね。
傍にいたいから頑張るよ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1671人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空
| 作成日時：2015年10月17日 13時
