2034.【3】 ページ34
［和side］
潤「かず…ごめん…」
「んーん。気にしないで…？」
智にぃと翔にぃが病院に相談に出掛けてから
潤は何度も謝ってくる。
俺にとって辛い記憶だもん、消してくれていい。
でも、潤にとっては『自分だけ何も知らない』
『自分だけ共有できない』ってこと。
それが辛くて仕方ないみたいで…
潤「…っ、…大事な、こと、忘れて…最低…」
そう言って自分を責める。
雅「じゅーん…？」
潤「…っ、んっ…、…っ、…っ…」
雅にぃが背中をさすって慰めてくれるけど
呼吸は苦しそうになるばっかり…
雅「ゆっくりだよ、潤。真似してごらん？」
潤「…っ、んっ、…っ、…っ…」
過呼吸気味になった呼吸はなかなか
落ち着かない。
そんな呼吸の中で、無理矢理に喋ろうとする。
雅「じゅん？しゃべらないで…潤！」
潤「…っ、んっ、かずは…っ…もっと…」
何とか繋いだ言葉から感じるのは、責任感の
強い潤らしい言葉。
「和はもっと苦しい思いを
してるのに、俺はそれを忘れた…」って。
「俺だけ逃げたんだ…」って。
とことん、自分に厳しい潤だもんね…
雅にぃが「喋らないで」って止めても
話すのをやめない。
雅「じゅーん…分かったから…
後で、いくらでも聞くから。ね？
一回、落ち着こう…」
「じゅん、俺も。後でちゃんと聞く。
潤の気持ち聞くから。…ね？」
雅にぃの宥め方に合わせて声を掛けたら
コクコクって頷いて喋るのをやめてくれた。
雅「よしよし…えらいね。
じゃあ、頑張って真似してね…」
潤「…っ、ん…」
呼吸法を真似している間に、落ち着いてきた。
ソファーに座って、雅にぃの肩に頭をのせて
甘えてる。
潤には自分を責めて欲しくない。
そう願っているのに…
潤「…っ、…んくっ…、俺が、わるい…」
にぃ達が帰宅して話を始めたら、また泣き出して
「ごめん…」って自分を責め続ける…
智「まだ分からないんだよ…？」
翔「ん、智にぃの言う通り。
だから、まずは病院で検査してもらわないと…
薬も用意できないだろ？」
潤「…っ、やだ、…らない、薬なんて、いらない」
忘れてしまった原因を突き止めないといけない。
もし脳の異常からくるものだったら恐いし…
翔「みんな心配してるから…な？」
潤「…っ、家に、いたい、のに…っ…」
翔「大丈夫。すぐ帰ってこられるから…」
潤「…っ、んくっ、…んと？」
翔「ん、ほんと。約束な…？」
潤「…っ、んっ…ん…」
翔「えらい、えらい」
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作者名：空
| 作成日時：2015年10月17日 13時
