2031.【16】 ページ31
［翔にぃside］
術前の処置を
すべて終えた和は智にぃに抱かれてウトウト…
今日まで本当によく頑張ったと思う。
頭を撫でてやることくらいしか出来ないけどさ…
「えらかったな〜、かず…」
和「ん、んぅ…」
しつこいくらいに触っていたら、逆に安心したのか
眠りに堕ちた。笑
少しやつれてしまった頬っぺた。
高熱でほんのり赤いけど、すべすべで気持ちが
良いのは変わりない。
智にぃに「翔は昔っから、和の頬っぺた
好きだもんねぇ」って笑われてしまった。笑
和「…っ、…んくっ…、…んっ…」
眠りから目覚めた和は「手術恐い」って
沢山泣いた。
数時間前に、俺が触っていた頬っぺたを
涙が流れていく…
「大丈夫。かず…おいで？」
和「…や、…んっ、…とにぃ…」
手術室の入り口で智にぃから和を引き剥がす。
先輩とカウンセラーにも協力してもらって
何とか落ち着かせる…
カウンセラーの「恐い時間は、翔先生に早く
終わらせてもらおうね」って言葉が効いたみたい。
俺にしがみ付いたままだけど、大人しくマスクを
当てさせてくれて…
和「…っ、んっ…んくっ…」
次第に力が抜けていった…
今回は点滴から鎮静剤も入れてもらったから
このまま先に眠りに堕としてしまうことに…
「かーず…手術終わったら、家に帰ろうな…」
和「…っん、…んな、で…」
「ん、みんなで…」
和「…っ、んっ…」
「安心していいよ…？傍にいるからな…」
声を掛けていたら眠れたみたい。
薬を追加してもらって、そのまま麻酔して
手術の準備を進めていく。
手術が終わったら和がラクになれると思うと
手術への不安よりも、終わった時のことばかり
考えられるから不思議だ…
和はきっと「早く帰りたい！」とか言って
駄々こねて、俺らを困らせるんだろうな…って。
案の定…
和「ねぇ、まだ退院じゃないの？
こんなに元気なのに！」
「はは！まーだ！」
和「むぅ〜…」
術後、驚異的な回復力で俺らを困らせる和。笑
お粥がひっくり返され、雅紀が「もう…笑」って。
ゲーム機を独り占めされ、潤が「もう。笑」って。
脱走されそうになって、智にぃが
「もう…笑」って。
もちろん俺は診察拒否されて「もう！！笑」って。
「もう」って言葉で溢れているのに
笑顔がいっぱいあって温かい空間。
そんな空間を作れるのは、和が和だから
なんだからな…？
他の誰でもない、和だから…
お前の笑顔があれば、まわりも笑顔。
頑張ってくれて、ありがとう…
END
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作者名：空
| 作成日時：2015年10月17日 13時
