2018.【3】抗がん剤治療 ページ18
［雅にぃside］
入院した翌日から
すぐに始まった抗がん剤治療。
翔にぃは副作用についても和に隠さず話をして。
副作用の発熱、頭痛、吐き気…
すでに何度も経験済みの和にとっては
辛い話だったと思うけど…
和は最後に「分かった」って頷いた。
もちろん俺らも分かっているつもり…
でも、投薬を始めた翌日には食欲もなくなって
一日中ベッドの上で苦しむ和の姿は見てられない…
和「…っ、んっ…、おぇっ…」
智「苦しいね…ゆっくりね…」
吐くものがなくなっても吐き気は止まらない。
和「…っ、ん〜…」
「そんな強く引っ張らないで…痛くなっちゃう…」
あまりの頭の痛さに、和は自分の髪の毛を
鷲掴みにして引っ張る。
和「…っ、ん…ん…」
潤「冷たいタオル当てるからな？」
40℃近い熱が続いて意識が朦朧とすることも
しばしば…
翔「ごめんな…」
翔にぃは和の頭を撫でて「頼むから…
効いてくれ…」って。
翔にぃの苦しい気持ちは、俺にはどうすることも
出来ない。
そんな時は、智にぃがそっと傍にきて
「だいじょーぶ…信じようね…」って翔にぃの
頭を撫でてくれるんだ。
［潤side］
和「…っ、んっ…おえっ…」
翔「ゆっくりな…？落ち着いたら、口濯がせて
やって？」
「…ん」
止まらない吐き気と、零れる涙…
見ているのが辛い。
翔「背中、聴診器当てるからな？」
和「…っ、んっ…、治し、て…」
頭を撫でてくれた翔にぃの手を捕まえた和。
「治してほしい…」ってポロポロ…
翔「ん、治してやるから…」
和「…っ、んっ…ん…」
翔にぃは和の涙を拭ってあげながら「だから
泣かなくて大丈夫」って優しく笑う。
和「…っ、んっ…」
その言葉に安心したんだろうね。
和は小さく笑顔を見せて、俺からコップを
受け取って口を濯いだ。
手に触れて熱の高さにビックリする。
ホッカイロみたいに温かいんだもん…
「辛いな…かず…」
思わず呟いてしまう。
見上げてきた目は今にも新たな涙が零れそうで
充血していて…
『何でこいつなんだろう…』って思う…
でもね、和は何度も何度も乗り越えてきたから。
だから、俺が弱気になってちゃ駄目なんだ。
和「…っ、んっ…おぇっ…」
「大丈夫。だいじょーぶだからな…」
和「…んっ…おえっ…ありが、と…」
今回だって、和は乗り越えるよ。
翔先生の心強い治療だってあるし、何より和に
『治りたい』って強い気持ちがあるからね…
和は強い。
だから俺も強くいる。
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作者名：空
| 作成日時：2015年10月17日 13時
