2014.【5】 ページ14
［翔にぃside］
俺が雅紀に
してやれることって何なんだろう…って
ずっと考えてた。
歩いても歩いても雅紀は見つからなくて…
もしかしたら何かあったんじゃないか…って
不安にも襲われて。
そんな時、俺の少し後ろを黙ってくっ付いて
歩いてきてた潤がボソッと言ったんだ…
「俺は、にぃ達大好きだから…
傍にいてくれるだけで嬉しいけどな」って。
振り向いたら照れながら「でも翔にぃは俺の
だけど」とか言っちゃって。笑
ピタッとくっ付いてきたから頭を撫でる。
ほんと可愛いんだわ。笑
それからしばらく歩いていたら智にぃからも
連絡があって。
俺らと反対方向を探してから、合流してくれた。
車だから、土手の下の道を走りながら
連絡を取り合って。
かなり歩いて『さすがにここまでは
来ないかもな…』って引き返そうとした時…
「あ…いた。」
川の近くで小さくなって俯いている雅紀を発見。
すぐに車の2人にも連絡した。
智「ずいぶん遠くまできたねぇ…」
「ほんとだよ。危うく引き返すところだった。笑」
和「ふふ。よかった…」
潤「俺ら、ここにいるから。いってきて？」
双子は土手に座り込んで「お願いね〜」って
手をヒラヒラ。
大人になったもんだ。笑
智「いこっか」
「…ん、そうだね」
土手を降りて歩いていく…
雅紀に近付いたら、背中が忙しなく動いていて
『泣いてるんだな…』って分かる。
智「ふふ。まさき、みーつけた…」
「まさき？」
俺らの呼び掛けに一度は振り向こうとした雅紀。
だけど顔を上げずに、また俯いてしまった。
智にぃと合図し合って両側から挟むように
座り込む。
智「こーんな遠くまできて…心配したよ？」
雅「…っ、…んっ…、…っ…」
「見つけ損ねるとこだったんだからな？笑」
雅「…っん…、…っ…」
智にぃがゆっくり背中をさすってくれるから
俺は持ってきたタオルで顔を拭いてやる。
されるがままの雅紀はすっかり末っ子さんに
戻ったみたい。笑
智「…帰ろう？お家で少し、ゆっくりしようね…」
雅「…っん、…っ、んっ…」
首筋に触れてみたけど、熱はなさそう。
仕事のプレッシャーから解放されれば、声も時期に
戻るだろうな…って。
問題は、どうやって解放の方向に持っていくか…
なんだけどね。
双子はいつの間にか車に戻っていて。
気を遣ったのか、一番後ろの座席に大人しく
座って待っていた。笑
「まさき、おいで？」
俺は後部座席で、そっと雅紀の肩を抱いた…
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作者名：空
| 作成日時：2015年10月17日 13時
