1994.【4】 ページ44
［和side］
智「…かず？
心配だから、カウンセリング行ってみよう？」
「やだ。行ったって、話すことないもん…」
雅「それでも行かなきゃ。こんなこと、この先も
ずっと繰り返すの？」
「おれ、何もしてないじゃん…」
雅「してなくないよ？じゃあ、これは？
これは誰がやったの？」
「ん〜、知らないっ…」
昨日の夜中は食べ物を探してゴミを
あさったみたい。
その前は缶詰めを開けていたらしい。
でも、そんな記憶俺にはないから…
どうしても病院行きにはなりたくない。
翔「いつものカウンセラーと少しだけ。な？」
「ん〜…いい…」
翔にぃの手をバシッと払って殻に閉じこもる。
こんなことでは前に進めないのは分かってる。
だけど…カウンセリングなんてもっと嫌。
意地を張って我儘言って困らせて…
それでも、にぃ達も潤も怒ったりはしなかった。
「和は、今のままで強いから大丈夫」
「無理しなくていいから」
そう言って、傍にいてくれた。
それなのに俺は無理して食べて、吐くまで食べて…
吐くまで食べないと気が済まなくなってしまって。
もうね、自分でコントロールなんて出来ないの。
だって食べてるって自覚ないんだもん。
気が付いたらみんなに宥められながら、トイレで
泣いていて。
自分のことが恐くなった…
［智にぃside］
翔が「もっと早くに気が付いてやれれば
良かった…」って。
和は、悔やむ翔の姿を見て「助けてほしい」って
泣きながら縋り始めた。
頑としてカウンセリングを拒否していた和が
前に進もうとしている証拠。
『このままではいけない』って誰もが思っては
いたからね…
もちろん和自身も分かっていたんだと思う。
翔「ごめんな、和。俺が何も考えずにお前のこと
褒めたから…」
和「んーん。…嬉しかった、から。いいの…」
ポロポロ涙を零しながらも和は翔にギュッと
抱き着いてる。
「カウンセリング行ってみる？治してもらって
ラクになろう？」
頭を撫でながら声を掛けたらコクコクっと
頷いてくれた。
翔も優しく笑って「予約してくるから」って。
和「…カウンセリング、しても、弱くならない？」
翔「ならないよ。絶対にならない。だから
みんなのこと信じて頑張ろう？な？」
和「…っ、ん…」
たくさん食べられなくなった時、もしかしたら
自分のことを弱いと感じることに
なるかもしれない。
でも、カウンセラーもいてくれるし、俺らもいる。
和の気持ちがプラスの方向に進むようにと願う…
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作者名：空
| 作成日時：2015年9月4日 6時
