1978.【6】 ページ28
［雅にぃside］
ストーカー行為が発覚して
しばらくの期間が過ぎたけど…
智「…っ、…んくっ…だめ…」
夜はやっぱり夢に魘されて、まともな睡眠が
とれない状態。
極度の緊張状態の中にいるから、体力も消耗するし
精神的な疲れもピーク。
体調不良に陥って、食欲もガタ落ち…
翔「とりあえず、点滴はしておこう…」
智にぃが嫌がったから、結局使っていなかった
点滴。
でも「嫌がるから」なんて悠長なことを
言っていられない状態になってきたから…
智「…っ、いいっ…、薬、いらな、い…」
翔「栄養剤だけ。ね？他には何も使わないから」
智「…っ、んっ、んーん…」
智にぃは医療行為を受けることを拒む。
カウンセラーに相談したら『薬に頼ったら
抜け出せなくなる…』って恐怖からじゃないか…
って。
翔「薬入れてあげたらラクになるんだよ？」
「そうだよ、やってもらおう？
体、辛いの嫌でしょ？」
智「…っ、いや、じゃない…これで、いいっ…」
翔「…智くん…」
智「…っ、…めん、ね？…も、でも、いらない」
説得を試みるけど、途中で呼吸が乱れるから
断念して…
落ち着いた頃に、また説得。
そんなことを繰り返していたら、朝になっていて
双子が部屋にきてしまった…
点滴のキット、置きっぱなし。
和が気が付く前に隠しておかないと…
和「寝れなかったの、智にぃ…」
涙を流す智にぃに少しも動じずにベッドに
潜り込んだ和。
でも…「どうしたの？」「何で震えてるの？」って
すぐに異変に気が付いたみたい。
智にぃは和の前では「点滴は嫌だ」とは言わない。
和が恐がるのを知っているから…
まだ十分に平常心ってことなんだよね。
この時もやっぱり「んん、大丈夫」ってだけ答えて
点滴のことには触れなかった。
でも、無意識なんだろうけど…両手を隠して
さらに見つめる先は点滴キット。
それに和が気が付くのに、そう時間は
かからなかった。
「何、恐がってるの…？」って。
翔にぃが慌てて隠そうとしたけど間に合わず…
和は「点滴しようとしてたの？」「だから
恐がってるの？」「当たり前じゃん。
やらないで」って。
和が取り乱して叫ぶから、智にぃは怯えて
さらにポロポロと泣き出す。
翔「分かったから、かず。叫ばないで。
智にぃ、恐がってるから…。な？」
和「んんっ、ばかっ…、それ捨てろっ」
翔「かーず？無茶言わないで…」
歯止めが効かなくなり始めた和。
翔にぃが「潤、和のこと出して」って判断した。
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作者名：空
| 作成日時：2015年9月4日 6時
