1977.【5】 ページ27
［潤side］
智にぃは「やらない」
「薬もいらない」ってポロポロ泣いて
翔にぃの手を払ってる。
翔「大丈夫。病院には連れて行かない。
ちょっと診るだけ。…ね？俺が把握したいだけ」
智「…っ、…んくっ、…いいっ…」
翔「よくないよ…。約束するから…」
智「…んっ、…いいっ…」
ポロポロと零れて止まらない涙を見ると
俺まで苦しくなってしまう…
でも、そんな時に響いたのは和の優しくて
落ち着いた声。
『大丈夫。翔先生は嘘ついたりしないから』
智「…っ、んくっ…」
和「嘘ついたことないの。俺ね…知ってる」
智にぃの背中をさすりながら、ゆっくり何度も。
それは、診察の先にある恐怖を知っている
和にだからこそ、出来ることなのかもしれない…
智「…んっ、くすり、も…らない」
和「薬ね…いらないんだもんね」
智「…っんくっ…」
和「翔先生、約束守って診てくれるよ…？」
和の言葉に大きく頷いた翔にぃは、聴診器を持って
ベッドサイドに腰掛けた。
それから、すっごく優しい声で「智くん？」って
呼び掛ける。
和が「翔先生」って言ったから、翔にぃも
それに合わせてお医者さんモードになってる。
智「…っ、んっ、んくっ…」
翔「智くん…？泣かなくて大丈夫。
約束するよ。ちょっとだけ診てもいい…？」
智「…んっ、ん、…ん」
涙を零しながらもコクコクっと頷いた智にぃ。
和が「握ってるね」って、手を握ってくれたから
落ち着けてる。
翔「ちょっと熱あるかもね…自覚あった…？」
智「…っ、ん…」
翔「…智くん？体、辛くない？」
智「…んっ、んくっ…へ、いき…」
明らかに体調不良を隠そうとしている智にぃだけど
翔にぃは「そっか、そっか」「辛くなったら
教えてね」って診察を終えた。
和「よかったね、智にぃ…」
智「…っ、んっ、…りがと…」
すぐにピッタリと寄り添った和。
そんな和に、翔にぃも雅にぃも信頼の眼差しを
向ける。
浅い眠りだけどスースーと安定した寝息を
立て始めた智にぃ。
雅「よかった…また寝れたね」
そっと額に手を当てた翔にぃは「まだ熱、
上がるかもしれない。ちょっと留守番
頼んでもいい？病院から薬と点滴もらってくる」
って、部屋を出ていった。
和は「任せて」ってニコニコして、智にぃに
さらに寄り添う。
ポンポンと宥めているかと思いきや、智にぃの
肩に顔を埋めたりして甘えて。笑
大好きな人の傍にいられることが
嬉しいんだよな。
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作者名：空
| 作成日時：2015年9月4日 6時
