1976.【4】 ページ26
［智にぃside］
窓から太陽が
差し込んできて、やっと安心する。
和「ふふ…智にぃ、あったかい…」
潤「欲しい物あったら、言ってね」
それから、こいつらの存在。
昨日から部屋に来てくれるんだけど
夜はちゃんと寝て、翔達と交代してくれる。
翔と雅紀は「睡眠をとること」「ご飯をちゃんと
食べること」「診察を受けること」を約束させて
あるから安心してって教えてくれた。
うん、それなら安心…
胸元をさすってくれる小さな手。
「寝て」とは言わないけど、優しさと心地良い
リズムで、だんだんと瞼が重たくなってくる…
「…っ、んっ…」
でも…目を閉じると思い出してしまう。
和「大丈夫…」
潤「智にぃ？これ見よっか」
潤が差し出してくれたのは釣りの雑誌。
2人で買ってきてくれたんだって。
俺が「今度、波打ち際で釣りたい」って話したのを
覚えててくれたみたい。
結局、行けていないけれど…
『元気になったら行きたいな…』
和「いこうね…智にぃ…」
潤が捲ってくれる雑誌を見ながら、和に心地良い
リズムをもらって。
そうこうしていると眠れている…
まとまった睡眠はとれないけど、今はこれで十分。
和「…ふふっ、ご飯にする？」
目覚めたら必ず隣にいてくれる和。
その間にも伝え続けてくれる温もりは消えない。
俺の隣に潜り込んでいる時に、この小さな手は
動き続けて、温もりを送ってくれる。
それにどれだけ救われているか…
潤「今日のは、きのこが入ってるよ〜」
予め翔達が用意してくれていたお粥を
潤が温め直して持ってきてくれた。
玉子ときのこ…ほんのり醤油ベースだ…
「…おいしい」
和「ふふ。よかった」
食欲はない。
睡眠不足が続いているからなのか、体調も
優れないから、お腹が空かなくて…
「…う、おしまいにする」
和「ん、分かった」
「おいしかった…」
食べられる量もだんだんと減ってる。
でも「美味しい」って感じられるから
それだけが救いかな。
一生懸命作ってもらったものだから
『優しさ』と『味』は感じたいからね…
昼前になって、翔と雅紀が合流。
和はもう一度診察を受けてる。
翔「よし、和はOKだね」
そのままの流れで向けられた聴診器…
翔「智にぃも診ておこうね」
「…っ、いいっ…」
咄嗟にパシッと翔の手を払ってしまう。
だって、調子が悪かったら病院でしょ…？
ここから出たくない。
薬もいらない。
みんなが居てくれたら、それでいい…
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作者名：空
| 作成日時：2015年9月4日 6時
