1973.【智にぃの恐怖、再び…】 ページ23
［翔にぃside］
「はい、
よく頑張りました。笑」
和「へへっ…屋上行ってていい？」
「いいけど、その前に…」
和「…っ、先生、ありがとう！！」
「…笑」
和「ございました！！」
ほんとに、こいつは何度言っても敬語ってものを
遣おうとしない。
どーしたらいいんだか…
「じゃあ、お願いします」
智「…ん、かず、行こっか」
和「んふふ…バイバーイ！！」
バタン…
診察室のドアが閉まって「相変わらず可愛いな、
和くんは」って先輩。
「俺は可愛くないってことですか？」って言葉を
慌てて飲み込む。笑
今日は、和の薬を決めるための簡単な
検査の日だったんだ。
いつもの診察と、血液検査とエコーだけだったし
機嫌も良かったから終始落ち着いてくれていた。
だから本当は先輩に同席してもらわなくても
良かったんだけど…
先「…ずっと、あんな感じか？」
「そうなんです…」
今日の本当の目的は、先輩に智にぃを視診して
もらうこと。
もちろん智にぃには「和の検査の間、先輩にも
手伝ってもらえることになったよ」としか、
伝えていない。
先「いつからだ…？」
俺が『様子がおかしいな…』って思い始めたのは
4日前。
フニャっとした笑顔を向けてくるのに、目の奥が
笑えていない。
1人になる時に不安そうな表情をする。
心ここに在らず。
外出を避けて「面倒だから○○と○○買ってきて」と、仕事帰りの俺や雅紀に連絡してくるように
なった。
そんな智にぃの変化に、他の3人も気が付いてる。
でも「病院に行こう」ではハードルが
高過ぎるから、この方法を選んだんだ。
先「かなり参ってるんじゃない？
顔色も悪いし、目に活気がない…」
先輩の言う通り。
睡眠も満足にとれていないらしい智にぃの顔色は
良いとは言えない。
先「心当たりは…？」
「それは…」
まだ確信が持てていないけど、たぶんこれ…と
いうものが俺らの中ではある。
でも、憶測だけで先輩まで巻き込んで
いいものなのか…
先「…翔くん？」
「…はい」
俯いて考え込み始めた俺に向かって先輩は
真剣な声で話始めた。
先「体力の限界がくるまで、もって
数日だからな？」
「…はい」
先「精神的なことが原因なんだろ？
だったら先に、心に限界がくるかもしれない」
「…はい」
先「…迷ってる暇はないんじゃないか…？」
「…」
先「…お前らが、助けてやれ」
ほんとは、この一喝が欲しかったのかもしれない。
智にぃの心に踏み込む為の覚悟がしたかったから…
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作者名：空
| 作成日時：2015年9月4日 6時
