1898.【3】 ページ48
［翔にぃside］
『海に落ちて
溺れかけたらしい…』って智にぃから連絡を
もらった時はドキッとした。
この時季になると増える水の事故。
救急に運ばれてくる患者さんも一気に増える。
やっぱり子どもが多い…
どんなに気を付けてもゼロにするのは
難しいのかもしれない。
でも、楽しいはずの思い出を悲しみでいっぱいに
して欲しくはないから…
だからなのかな。
俺らの両親は、俺らにも双子にも小さい頃から水に
慣れさせる努力をしてくれていた。
物心つく頃には、お風呂で親父に頭から水を
バシャバシャ掛けられていたし。
和はそのせいでお風呂で大泣きしてたけどね。笑
泳ぎも教えてもらったし、スイミングにも通った。
だから両親が亡くなった後は、双子にも泳ぎを
教えたし、プールにも連れて行った。
まぁ、主に教えたのは雅紀だけどね。
スパルタ教育で和を泣かしながら。笑
そんなことを思い出しながら智にぃと雅紀と
少し話をした。
雅「溺れかけたこと…
思い出したくないだろうね…」
「ん…そうだな…」
智「でも…必要なことだから…」
双子と、話をしてみようってことになったんだ。
溺れそうになった時、どうしたらいいのか。
溺れてる人を見つけたら、どうしたらいいのか。
もちろん、話したっていざとなった時には
その通りに動けないかもしれない。
でも頭の片隅にでも置いておいてもらえれば
結果は少しずつ変わってくるはず。
水の事故って、他者をも巻き込む恐いもの
だから…
智「明日、双子の様子を見て…話すかどうか
決めよう？」
「ん、そうだね」
雅「りょーかい」
様子次第では、少し時間を空けてあげた方が
いいかもしれない。
和は普段から背負っているものが多いから
パンクしてしまうことも考えておかないと
いけないしね。
…それによって、潤も。
智「さて、今日は双子と一緒に寝よっかね〜」
雅「やった！俺、翔ちゃんの隣〜」
「…っ！なんでだよっ！笑」
雅紀はなぜか昔から「翔ちゃんの隣〜」って。
「智にぃはすぐ寝ちゃうからつまんないもん」って
よく言ってたっけ。笑
和室に入って、まずは仏壇に手を合わせる…
『守ってくれたんだよね…？』
『…守ってくれて、ありがとう』
3人でゆっくりとお礼をしてから、智にぃは和の
隣へ。
俺は潤の隣へと潜りこ込む。
双子がピッタリくっ付いているからね、2人の
間には入れないの。笑
眠る直前…雅紀が「無事でよかったね…」って
呟いた。
ほんとに…
その通り。
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作者名：空
| 作成日時：2015年5月2日 14時
