5人で生きてゆく…part38 (ページ22)

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［雅にぃside］

夜になってソファーで
ウトウト…始めた和。

智にぃの「寝る前に歯磨きしておいで」って
一言に過剰に反応して…

和「…や」

歯ブラシを拒否して、そっぽを向いてしまった。

昼間のことがあったからね…原因はすぐに
分かった。

翔「自分で磨くだけでいいから。な？」

和「…」

翔「…かず？」

和「…や」

渡された歯ブラシをポンッと放って、その後は
誰が声を掛けても見向きもせず。

結局「じゃあ、今日はやめておこう」って
翔にぃが折れた。

「明日になったら気分も少し変わるかも
しれないしね」って智にぃの言葉に
みんなで頷く。

でも…実際にはそんな簡単な問題じゃなかった…

和「…っん、や…」

翌朝も歯ブラシを見て嫌がってポロポロ…

翔「先生に電話してみる」

「このままって訳にいかないもんね…」

歯磨きをしないままだと後々、治療が必要になって
和はもっと辛い思いをする。

だけど、パニックで不安定だった心に新たに
加わった歯磨きの恐怖心は俺らの想像以上で…

和「…っん、やっ…や、…っ、げほっ…」

無理矢理に磨こうとすれば激しく泣いてしまう。

先生が「歯ブラシに対して恐怖心があるなら
クリーナー使えるかもしれない」って教えてくれて
買ってきてみたけれど…

和「…や」

翔「大丈夫。ほら見て？これで拭くだけ。な？」

和「…ん、んっ…、や…、げほっ…、やー…」

大人しくクリーニングさせてくれる様な状態では
とてもない。

だけど恐怖心が消えるまで待ってあげることが
出来ないのも事実。

翔「とりあえず、クリーナーに慣れさせるね…」

智「ん、そうだね」

少しずつ慣れさせつつ、歯磨きに対しての
恐怖心を軽くしてやるしかない…

翔「かず？自分でやってごらん？こうやって
擦るだけ。な？」

和「…っ、ん…、…ない」

翔にぃの手元を見ようともせず、完全拒否モード。

翔「じゃあ、うがいだけでいいから。
洗面所でしてみよう？」

和「…っん、ん…」

なんとか、うがいは頑張ってくれたから。

クリーナーで磨くのは夜だけにすることにした。

なるべく和の負担は小さくしてあげたいから…

そんな俺らの願いも虚しく…「歯磨きをされる」
って悟った和は、される前から大泣き。

智「だいじょーぶ。かず？ほら、見てごらん？」

智にぃが抱き締めながら背中をさすって
落ち着かせようと試みるけど…

和「…っん、…んな、いっ…、やー…」

クリーナーを払いのけて、智にぃの手からも
逃れる。