1852.【2】 ページ2
［智にぃside］
飛び跳ねながら
帰って来るであろう和を想像しながら
お昼ご飯の準備。笑
そんな時に着信を知らせる俺の携帯。
「は〜い、もしもし？」
『和』って表示されていたから「これから
帰るよ〜♪ 」とか、そんなものだろうと思って
気楽に出た。
和「…と、にぃ…」
だけど、そんな予想はあっさり裏切られて…
慌てて、電話から聞こえてくる和の声に耳を
澄ませる。
特有な息遣いから『発作起こしたんだな…』って
事はすぐに分かった。
「かず…？薬は飲めた？」
和「…、…め、た…」
和は今にも消えてしまいそうな声で
「どこか分からないよ…」「怖いよ…」って。
「すぐに迎えに行くから。そこから動かないで
待ってて？」
和「…」
「…っ！かずっ？」
和「…、…ん」
電話を繋いだまま車に乗り込む。
あんまり喋らせ過ぎちゃうのも良くないから
たまに「かず？」って呼び掛けて確認して。
少しずつ落ち着いてきたみたいで「公園みたいな
ところにいる」って教えてくれた和。
ナビで確認したら、お店から少し離れた所に
小さな公園を発見。
大きな公園だったら、和を見つけるだけで一苦労
だろうから、とりあえずホッとした。
「公園、見つけたからね。すぐ行くから…」
和「…ん、…まって、る…」
［和side］
どれくらい時間が経ったのかは分からないけど
智にぃの声がずっと聞こえていたから安心できた。
時折痛む胸に手を当てながら、前屈みになったり
深呼吸したりしながらラクな方法でやり過ごす。
チラッと顔を上げてみたけど、やっぱり全然
知らない場所。
どうやったら駅に行けるのかも分からない…
『迷子になっちゃった…』
『このまま智にぃと会えなかったら…？』
言い様のない不安に襲われて、涙はポロポロと
零れ始める。
動かない方が良いのかもしれないけど
じっとしてなんていられなくて…
「…っ、ん…、…と、にぃ…」
智にぃを求めて、トボトボ歩く。
人がいない場所で良かったよ…
こんな姿、誰にも見せたくなんてないもん…
たまにギューッと胸が締め付けられるから
しゃがみ込んで治まるのを待つ。
「…るしい、よ…、…すけ、て…」
痛みと不安から、さらに溢れ出す涙…
『俺、このまま帰れないの…？』
フニャッと笑う、智にぃの優しい顔が見たくて…
しゃがみ込んだまま手を伸ばしたら、求めていた
「かず」って優しい声がした。
迷わずギュッとしがみ付く…
『恐かった…もうどこにも行きたくないよ…』
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作者名：空
| 作成日時：2015年5月2日 14時
