1881.【5】 ページ31
［雅にぃside］
みんなで和室で
眠るようになって数日。
思ったより和の分離不安の症状が良くならない。
和「…っ、んっ、ん…」
先に智にぃと布団に寝転んで楽しそうに
お喋りをしていたのに…
和「…んっ…ん…っ…」
みんなが揃う頃には涙が頬を伝う。
翔「…かず？どっか痛い？苦しい…？」
和「…っ、んっ、ちがっ…」
見兼ねた翔にぃが聴診器を構えて近付くけど
首をフルフル振って手を払う。
それでもやっぱり心配…
和は誤魔化すのが上手だから。笑
和「…っん、…いき、へ、いき…」
聴診器が当てられれば、今までの倍…涙を零す。
智「…かず。恐いことしてないから…
痛くもないでしょ？泣かなくて平気。」
和「…っ、んっ…、…や…」
智にぃが手を軽く抑制しながら声を掛ければ
体を起こして縋るようにくっ付いていく。
翔「体調は大丈夫そうだな…不安なのかな？」
智にぃに抱き着いた和の背中を聴診しながら
翔にぃが心配そうな顔をする。
和「…んっ、…んな、いたら…っん…」
翔「ん…？」
和「みん、な、…たら、…るしい、の、ない…？」
智にぃの胸元に顔を押し付けながら
和の本音が…
『みんないたら、苦しいのない？』って。
「ないよ」って言ってあげたいところだけどね…
しばらくの沈黙の後、翔にぃが「おいで？」って
優しい声で和を呼ぶ。
壁に凭れて座った翔にぃは、和を自分に
凭れさせて後ろから両手をお腹の前で包み込む。
翔「みんなが揃ってても、苦しくなることは
あると思う」
和「…っ、んっ…、…っ、や…」
翔「ん、嫌だな…。でも、みんながいたら
すぐに助けてあげられるよ？」
和「…んっ、…や…」
翔「苦しくても、すぐ助けてやるから…」
和に言い聞かせるように…
自分自身を納得させるように…
翔にぃは力強く「必ず助けるから」って
何度も呟く。
和「…っ、…とり、ひとり、…ない？」
翔「ん。一人にしないから。な？」
和「…んっ、んっ…、…くそ、く…」
翔「ん。約束。だから、もう泣くな」
ヒックヒックとしゃっくり上げる和を
後ろからしっかり抱きしめてあげた翔にぃ。
発作の恐怖から守ってあげることは出来ない。
だけど、こうやって安心感を与えてあげることは
出来るもんね。
この日を境に、和の情緒は少しずつ安定し始めた。
まだまだ「一緒に寝たい」って、誰かを誘ったり
5人で眠ったりしてるけど。
でも「みんな居るもんね」って可愛い笑顔を
見せてくれるようにもなった。
END
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作者名：空
| 作成日時：2015年5月2日 14時
