1647.【気になる外見】 ページ47
［和side］
ここのとこ、大量に
投与されてる薬。
その副作用については翔にぃから、きちんと説明が
あった。
自分としては気にしていたけれど、まだ誰にも
指摘されていない。
そのことが救いだったのに…
ク「何かちょっと太ったんじゃない？」
「…そう？」
ク「うん、そんな感じする。でも良かったんじゃ
ない？」
「…」
ク「元気な証拠じゃん」
クラスメイトからの指摘に「やっぱり、みんな
気が付いてるんだ…」って確信。
悪気がないのは分かってる。
だけど、元気じゃないから薬を投与しているわけで…
『元気な証拠』って言葉も、重くのしかかった。
そうなってくると、夜から明け方にかけて
投与される薬にうんざり…
自分を助けてくれる薬だってことは分かってる。
でも、体の為に苦しい思いをしたり、傷付いたり
するのには正直、イライラする。
それにもう…
「…学校、行きたくない…」
朝の体調チェックにきた翔にぃに、そう伝える。
周りからの目を気にしながら生活するのは
嫌だから…
翔「体調悪い？」
「んーん。平気。ただ、行きたくないだけ」
診察を済ませた翔にぃが、じーっと見つめてくる。
「大丈夫。元気だから…」
全て見透かされる気がして、布団に潜って隠れた。
［翔にぃside］
智「分かってたけど…辛いね」
和が登校を渋ってることを伝えたら、作り途中の
お弁当を寂しそうに見つめながら呟いた智にぃ。
こうなることは予想していた。
和と同じ薬の投与を受けた人は、副作用で顔や
手足が浮腫んで、人前に出る事を拒むケースが多い。
大好きな学校なのに、自分から「行かない」って
選択肢を選ぶってことは、クラスメイトに
何か言われてしまったのかもしれない。
智「和の意思を尊重するしかないね…」
「だよね…」
『気にしなくていいんだよ』って励まして
学校に送り出す方が良いのかもしれない。
けれど、周りの『気にしなくていい』と
本人の『気にする』は比例しない。
こればっかりは、和の性格とか思いとかが
大きく関係してくることだから。
俺らはとりあえず、学校に行きたくない理由も
追求せず、様子を見守ることにした。
一番重要視しなきゃいけないのは薬の投与。
今の和の体には必要な薬だから。
だから、その先の選択は和に任せよう。
雅紀と潤にもそう話をして、和を連れてきて
朝食を食べさせる。
和「あらしにもあげよっと！！」
「ウォンッ！」
和「きゃはっ！美味い？」
とりあえず、元気だね。
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作者名：空
| 作成日時：2014年10月3日 6時
