1633.【助け、助けられ】 ページ33
［和side］
翔「かーず。
ちゃんと、こっち見て返事しなさい」
「はい。って言ってるもん！
しつこい、しつこい、しつこい！！」
翔「そうやって誤魔化すんだったら採血もだよ？
とにかく、こっち見なさいって！」
「やだ！見たくない！」
目をギュッと瞑って、掴まれる腕を離させようと
ラグに転がる俺。
どう見ても小学生。
変わってないもん、あの頃と。笑
少し貧血気味なだけだもん。
それなのに「目を見て返事しなさい」なんて、
大袈裟なんだから。
それに翔にぃに、見つめられたら素直に答えたり、
返事することなんて出来ない。
恥ずかしいのもあるのかな…
認めたくないけど。笑
翔「あーもう。じゃあ、そうしてなさい。
今日はお休みすんのね？」
「…っ！だからしないってば！行ける！行く！」
翔「担当医の言うこと聞けない人は登校
できませ〜ん。」
今度は俺の腕を払ってキッチンへと向かう翔にぃ。
上手いんだよね、俺の扱いが。笑
ほんとに、よく分かってらっしゃる…
入れ替わりに智にぃが、俺の傍に
しゃがみ込んで目線を合わせてくる。
智「フラフラするの…？」
「しない…」
智「ん？ほんとは…？」
「…朝だけ、だもん」
智「朝はフラフラしたのね？」
「…ん」
『学校に行けないかもしれない…』
そう思ったら自然に涙が溢れてきて…
「…っ、ん…んっ…」
それでも尚、意地を張って一人で泣く俺。
優しく背中をさすってくれる智にぃと
キッチンから見守ってくれてる翔にぃ。
そんなところへ潤が起きてきて「今日は選択科目も
ないし、ずっと一緒にいられるから」って
交渉してくれて。
潤と少し話をした翔にぃが再び来てくれた。
翔「かず？自分の要求ばっかりは駄目なんだよ？
ちゃんと、話して体調の把握はさせて？」
「…って、…けなく、なる…」
翔「それは関係ない」
「…んなに、悪く、ない、よ…」
翔「なら、ちゃんと返事できるでしょ」
「…っ、は、い…」
やっぱ敵いっこないや。
智「じゃあ、ここ座ってちゃんと診てもらおうね」
智にぃに肩を抱かれてソファーに座る。
体調のことをいくつか質問されて…
翔「今は頭がボーッとする感じはないんだな？」
「…ん」
翔「ん、じゃなくて。ないのね？」
ここでの答えが「ない」なら多分、学校へ行ける。
でも「ある」なら採血もするし、結果次第では
学校へは行けない。
俺がそれを分かっているのを知ってるから、翔にぃは
こんなに厳しく問うんだ…
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作者名：空
| 作成日時：2014年10月3日 6時
