1632.【5】 ページ32
［和side］
「あらし〜、
ちょっとだけだよ〜？」
「ウォンッ！」
「シー…しずかに…」
5枚の布団が並んだ和室。
ほんとは一人一枚の布団なんだけど、なぜか
みんな真ん中に寄ってくるから。笑
俺はそこから抜け出して空いてる端の布団に
あらしと座る。
揃ってダウンだと俺は寂しくないけど、あらしは
寂しいと思うから。
やっぱりあらしは嬉しいみたいで、布団の上で
しっぽをフリフリ。
「ちょっと待っててね？」
あらしにはちょっと悪いけど、今のうちに俺は
看病しておかないと。
いつもやってもらってばっかりだからね。
温くなった冷えピタを順番こに交換して。
少し動いたら元気が出てきたから、そのまま
キッチンでお粥の片付け。
トコトコトコトコ…
足元に駆けてきたあらしを抱き上げる。
「クゥーン…」
「んふふ…心配してくれてるの…？」
体はまだ熱いもんね。
みんなの為に動きたいけど、それで倒れたんじゃ
元も子もない。
それくらいは分かるよ。笑
あらしは心配してくれて「クゥーン…」って
鳴くくせに、ケージに入れようとしたら、もっと
「クゥーン…」って鳴いて。
「まったく、そんな声出してずるいんだから。笑」
甘える時の自分と重なって笑ってしまう。
和室に戻って端の布団に寝転がろうと思ったんだけど
やっぱり寂しいから…
「よいしょっと…」
少しだけ空いていた翔にぃと智にぃの間に潜り込む。
智「…かず、だいじょうぶ…？寒くない？」
「…ふふ、だいじょうぶ」
翔「…れ？あらし、いない…？」
「…んふふ、いないよ〜」
慌ててあらしを布団に潜り込ませる。
さすが鋭いな。笑
モゾモゾとお腹の上に登ってきたあらしは
そのままに、智にぃと翔にぃの手を握る。
こうやって挟まれて眠る機会って
そんなにないからな…
なんか新鮮。
まぁ、普通はこんな機会ないんだろうけど。笑
でも自室で一人で眠るよりかずっと良い。
自然と眠りにつくことができるから…
どれくらい経ったんだろう。
額に手を当てられて、冷えピタが交換された。
うっすら目を開けて…たぶん潤だなって。
キッチンで何やらガチャンて音。
これは…雅にぃ。
それから、俺のお腹からあらしを取り上げるのは…
翔にぃしかいない。笑
そっと熱を計ってくれたのは、たぶん智にぃだね。
こうやって5人がそれぞれ目覚めた時に少しずつ
看病。
俺が動いているのを知っても「和は寝てなさい」
とは誰も言わない。
みんなで元気になるんだもん。
END
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 866人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空
| 作成日時：2014年10月3日 6時
