1625.【3】 ページ25
［潤side］
「学校の後がいい！」
「夕方がいい！」
「潤も一緒がいい！」
和はその後も色んな条件を出して、翔にぃを
とことん困らせた。
でも言い換えてしまえば条件を満たせば、素直に
受診してくれるってこと。
それをやって退けるのが翔にぃってわけ。
和「診察室も、一緒ね…？」
病院の駐車場に着いてからは、俺のフードを
離さない。
翔「大丈夫。無理矢理に離したりしないから。な？」
翔にぃが優しく声を掛けても不安顔のまま…
外来は終わっていて、そのまま診察室に通して
もらえたんだけど、もうガッチガチ…
知らない病院。
知らないお医者さん。
椅子に座ることも出来なくて、ドアの前で足を
突っ張って必死の抵抗。
だけど翔にぃが、事前に和のことを説明して
くれていたから…
先生は表情一つ変えずに笑って待ってくれる。
翔「一緒に座ろう？」
和「…だ」
翔「診てもらわないと。おいで？」
和「…っ、ん〜…」
翔にぃに腕を引かれた和は、俺から手を離さず
そのまま床にしゃがみ込もうとする。
翔「潤？そこ座ってくれる？」
指定されたのは診察用のベッド。
「お前が乗れば付いてくるから」って耳打ちされて
ベッドに上がる。
和「…ゅん、と、じゅん、がいい…」
フードと腕に必死で掴まってくる和は、その言葉
通り、俺に付いてきた。
翔「座って抱えてやってくれる？」
「ん、わかった。かず？大丈夫だからね」
翔にぃが和のことをベッドに上げてくれたから
後ろから抱きしめてそっと支える。
翔「かず？診てもらったら帰れるから。な？
少し頑張ろうな」
和の表情を見ながら「お待たせしました」って
先生に合図した翔にぃ。
先「和くん、よろしくね。まずは見るだけ。
触らないからね」
和「…っ、ん〜…」
先生の腕を払おうとして伸びる手。
翔「かーず。手は出さないで？」
和「…んっ、ん〜…」
翔「駄目なの」
見兼ねた翔にぃが、その手を捕まえて…
先生は和のことを気にしてくれながらパパッと診察を
進めてくれる。
先生と翔にぃで何やら話をして、診察をして。
痛む足をほとんど触られないから、和もだんだん
落ち着いてきて、俺に凭れてくれる様になった。
先「また連絡しますね」
翔「ありがとう。助かるよ」
和の前で治療法とかの詳しい話をすると恐怖心を
煽るから。
翔にぃは和の頭を撫でながらお礼を促して…
「約束守ってくれる優しい先生だろ？」って。
和は俯きながらもコクンと頷くことができた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 866人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空
| 作成日時：2014年10月3日 6時
