1622.【7】 ページ22
［雅にぃside］
仕事を終えて
帰ろうとしたところで智にぃから電話。
珍しく「ちょっと付き合って」って。
家の近くのカフェで待ち合わせ。
「今朝のこと？和、あれから落ち着いた？」
智「そのことなんだけどね…」
智にぃが言いにくそうに口を開く。
感情が爆発して大泣きしたこと。
昼過ぎに少し強引に翔にぃと2人で
話を聞き出したこと。
それによって、かなり不安定になってること。
智にぃは和から聞き出した事も、隠さずに話して
くれて…
「そんな…」
まさか自分が和を追い込んでいたなんて思いも
しなかった。
「…でも、振り返ると…色々思い当たる…」
智「ん、俺らも。和の様子、少し変だったもんね…
雅紀が忙しいのも分かってた。俺らがフォローして
やれれば良かった…ごめんね。」
「んーん…ごめん。俺が悪い…自分のことしか
考えてなかったから…」
智「和ね…雅紀のこと怖いって…今ね、たぶん
最悪の状態…」
「…ん」
智「兄弟だから喧嘩したって良いと思うんだ。でも、
主従関係っていうか、そういうのは嫌だもんね？」
「うん…」
智にぃの言葉に大きく頷く。
「怖い」とか「従わなきゃ」とか、思っては
欲しくない。
だって、大事な大事な弟だから…
［翔にぃside］
和「…えってくる？」
智にぃが家を出て行ってから、俺の傍を離れようと
しない。
ガチャッ…
玄関のドアが開く音がして「ただいま」って2人の声。
和は「ごめんなさい…」って呟いて、俺の背中に
姿を隠す。
雅「かず？俺がごめんなさいだよ…」
和「…」
リビングのソファーに座った雅紀はキッチンにいる
俺らに向かって話し掛ける。
雅「智にぃから聞いた。俺ね？自分のことで
いっぱいいっぱいで…。それで和のこと、ちゃんと
見てなかった。ごめん…ごめんな？」
和「…」
雅「和のこと、すげ〜大事。仕事が忙しかったり
してもさ、和の診察とか面倒だとか思ったこと
ないよ？」
和「…」
雅「心配させてごめん。傷付けてごめん…」
雅紀の涙声…
背中に引っ付いた和も小さく震えてる。
智にぃがそっと寄ってきて、和の背中を優しく
さすってあげてる。
智「よかったね、かず…」
雅紀の真っ直ぐな気持ちは和の心に届いてると思う。
すぐには無理でも、また2人でバカやって騒いで
俺らに怒られる日がくるのは間違いない。
雅紀が和のことを大事に思ってることも、和が
雅紀のことを大好きなことも、俺らは知ってる。
雅紀と和も知ってるんでしょ？笑
END
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作者名：空
| 作成日時：2014年10月3日 6時
