1603.【3】 ページ3
［智にぃside］
俺に凭れながら
スプーンから顔を背けて
拒否を続ける和。
さすがに食事の時間は、抑制して口を開かせて…って
事はしたくないから、翔との根比べ。
翔「かず？違うのにする？りんごは？」
和「…」
翔「じゃあ、ちょっと頑張ろう？な？」
和「ん〜…」
差し出されるスプーンを押しのけて拒否。
俺は胸元をさすりながら落ち着かせる。
抑制はせず、あくまで和の味方ってポジション。笑
翔「少しだけでいいから。美味いよ？」
和「…」
目を潤ませながらだけど、小さく口を開けた和。
すかさず翔はスプーンを口に入れて、それから
「えらいね」って褒める。
噛むのも飲み込むのも辛い作業…
堪えてた涙がポロポロと頬を零れる。
「痛いね…」
和「…っ」
3口食べてギブアップ。
だけど胃の中に食べ物が入るってことが
大事だったりするからね。
翔「あと薬だけな」
和「んーん…」
翔「だーめ。飲まないはないんだろ？」
なるべく繋いだ点滴から投薬できるものは追加して
くれてるけど。
それでも経口で飲まなきゃいけない薬もあって…
フルフル首を振る和を、翔は器用に抑え込んで
口を開けさせる。
翔「ちょっと多いよ？頑張って飲み込んでな…？」
いつもは3錠くらいをまとめて飲み込んで、それを
数回繰り返す和だけど、今回は一度で飲ませて
少しでも負担を軽くしてやりたいって翔の思いで。
6錠をまとめて口の中へ…
飲めない量じゃないんだけど、ちょっと興奮
しちゃってるから難しくて。
それでも翔はゴクンって和の喉が動くまでは
口から手を離さない。
厳しく思えるけど、意外とこの方が和の負担は
少なく済むからね。
和「…っ、ん…」
翔「おしまいな。智にぃ？お願いね…」
「ん、了解。かず、おいで？」
服薬に抵抗してズルリと下がった体を引き上げて
再びお腹の上へ。
ヒックヒックと忙しなく動く胸元をさすりながら
「えらかったねぇ」って呪文のように唱える。
案外これが効果あるんだよ？笑
数分で呼吸も落ち着いて、引っ付いて甘えてくるから
体制を替えて抱えてあげる。
日に日に体重が減っているのが分かる…
咽頭炎治して食べれるようにならないとね。
その為に治療も頑張らないと。
翔が準備を始めた吸入のセットを見て、和は早くも
「やらない」って言ってるけど。笑
モクモクって煙を吸うだけって思うけど、呼吸自体が
苦しい患者にとっては辛いもので…
和のような咽頭炎の場合には痛みもあって苦痛
らしい…
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作者名：空
| 作成日時：2014年10月3日 6時
