1506.【6】 ページ6
［翔にぃside］
和の容態は
どちらかというと
落ち着いている。
数値的にも何の問題もないから、早めに意識が
戻っても良いんだけど…
なかなか戻らない。
昨日、鎖骨からカテーテルを入れて栄養を
摂れるようにした。
このままだと、ガリガリに痩せていって
しまう一方だから…
ほんとは体に傷を増やしたくないし、これ以上
管に囲まれるのは可哀想だから避けたかった。
でも、目覚めた時の事を考えたら、やらない方が
残酷だって思ったから。
脳もきちんと反応を示してくれてるし、心臓も
きちんと動いてる。
だったら、意識が戻った時に少しでも体が
楽な方が嬉しいだろうと思って…
それでも、それでもさ？
清潔を保つために体をホットタオルで
拭いていると、痛々しいチューブが目に入って…
心が折れる音が聞こえる気さえする。
機械で管理されている和の体は、精一杯に
頑張っているのに…
これ以上、頑張れって言わなきゃいけないの…？
色んなことを考えていると涙が止まらなく
なって…
ICUで一人、泣いてしまうんだ。
雅紀も潤も精神的にも疲れ始めてる…
もちろん、智にぃだって。
だから俺は担当医として和にできる限りの事を
してやりたい。
綺麗になった体に簡易着を着せ直して、体の
マッサージを始める。
筋肉が固まってしまわないように、刺激を
与えてやりながら…
「…っ、…ん、また、やせた、な…」
ピッピッピッピッ…
「…て、たてなく、なっちまう、よ…」
ピッピッピッピッ…
痩せている足をマッサージしていると
やっぱり涙が止まらない。
俺は時間を忘れてマッサージを続けていた…
智「…ふふ、翔にぃちゃん？交代でしょ？笑」
あ…もうそんな時間…？
ポンッと肩に置かれた手から伝わる
智にぃの温もり。
智「一旦、出るよ？何か食べなきゃ。ね？」
「…なか、空いてないから、いらない…」
智「いいから。とりあえず、おいで？」
智にぃに手を引かれてICUを出ると
看護師さん達に「弟になってますよ？笑」って
笑われる。
「だって俺、弟だもん…」って心の中で返して
膨れつつ目を逸らす。笑
智「何食べる？うどんにしとく？」
「いらない…」
智「駄目。昨日も言ったでしょ？食べなかったら
面会どころじゃなくなるよ？」
「…」
智「ほーら。何食べるの？」
「…カレー」
智「んふふ。いいこ…笑」
俺は和が発作で運ばれた日から
ご飯を食べる気になれなくて…
こうして智にぃが促してくれないと
食べられなくなった。
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作者名：空
| 作成日時：2014年8月7日 12時
