1548.【48】 ページ48
［智にぃside］
翔は和の話を聞きながら
苦笑い。
雅紀は真っ直ぐ過ぎて、一生懸命になると
周りが見えなくなることがある。
きっと今回もそのパターンだと思うんだ…
翔「かず？嫌だったのは分かったから…
でも、俺が雅紀に和のこと頼んだんだもん。
それも分かってやって？」
和「…も、…っ、…やく、やってって言って
ないじゃん…」
翔「ん、そりゃそうなんだけど…笑」
和「…から、やだ…っ、んっ…」
俺の腕の中で自分の主張を通そうとする和。
翔はあくまで「和の為」ってことを伝え続ける
気みたい。
だったら俺も…
「和が辛かったから、助けようとして
くれたんでしょ？」
和「…っ、ん…、…も嫌、だった…んだよ？」
「ん。分かってる。だから謝ってるよ？」
和「…っ、ん…、んっ、…っ…」
背中をさすりながら落ち着くのを待つしか
ないね。
和も分かってるから、頭の中が少し整理
できたら、また変わると思う。
雅「かず、ごめん。ごめんね…？」
和「…っ、んっ、ん…やだ…っ」
雅紀が謝りながら頭を撫でようとしたら
ペシペシ払う和。
翔「雅紀も疲れただろ。ちょっと息抜きしに
いこっか。」
雅「…」
翔「…まさ？おいで？」
俺は、雅紀の手を引いた翔に『任せるね』って
合図した。
［雅にぃside］
「…めん、なさい」
翔「和の為だろ？俺らの前では謝らなくて
いいよ」
翔にぃは俺にコーヒーを買ってくれて、そのまま
屋上に連れて行ってくれる。
ベンチに座って、翔にぃに肩を抱かれたまま
ゆっくり飲む。
何か落ち着いてきた…
今日って、こんな良い天気だったんだ。
一日必死過ぎて、何にも見えてなかったなぁ…
肩に回された手からポンッポンッて心地良い
リズムを感じながら、無言のままコーヒーを
飲み切ってしまった。笑
翔「…俺さ？」
「へっ？」
翔「はは！間抜けな声出すなって。笑」
「ん。ふふ…だって翔にぃが急に喋るから。笑」
翔「今日一日、すげー安心して仕事できたよ？」
「…」
翔「さっきまで何も感じてなかったけど、今さ
振り返ってみて思う。雅紀に和のこと任せて
何も心配じゃなかった」
「…んと？」
翔「うん、ほんと。和もそうだったんじゃない？
だって少しも不安そうにしてなかったじゃん。
むしろ、一緒にゲームしよ！って張り切ってた
もん。笑」
あ…そっか。
翔にぃからの言葉で安心すると同時に、反省点が
頭に幾つも浮かぶ。
「俺、和の気持ち…分かってやれてなかった…」
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作者名：空
| 作成日時：2014年8月7日 12時
