1504.【4】 ページ4
［潤side］
到着した救急車には
翔にぃが付き添いで乗って。
俺と智にぃは車で病院に向かう。
和は救急車の中で頑張ってくれたみたいで
俺らが処置室に着いた時には心臓が
動き出してた。
でも…
大嫌いな挿管をされ、パジャマを切られて
続けられる処置を見たら可哀想で…
「…っ、ん…、…っ、ん、ん…」
涙が溢れて言葉にならない。
智「じゅん…、こっち、おいで…」
智にぃが後ろからギュッと抱き締めてくれる。
だけど、いつもは頼もしいその腕がプルプルって
震えてるんだ…
智「…っ、ん…ん、んっ…」
堪え切れない嗚咽が耳元で響く。
「…とにぃ…？」
智「…ん、…っ、ごめ…」
「…ん、んーん…。もどって、きたのは
かずの、意思、だよね…？」
智「…ん、そう、信じたい、ね…」
体に沢山の管がつけられて、苦しいに
決まってる…
痛いに違いない…
でも、和はちゃんと戻ってきてくれる。
こうなるって分かってても、生きようと
してくれてる。
それは和が「生きたい」って思って
くれてるからだと思うんだ…
こんな泣き虫な弟を置いていくのは「駄目」って
思ってくれてるからだと俺は信じてる。
智「…うえん、してやらなきゃ…」
「…ん。いっぱい、する…」
智「んふふ…」
智にぃの腕はまだまだ震えているけど
さっきより力が入ってる気がする。
だから俺も、パワーをもらうだけじゃなくて
智にぃにも、和にも分けたいなって思う。
［智にぃside］
「頑張ったね…かず…」
ICUに移された和は機械に繋がれて生きてる…
意識がないから当然、表情もない。
でも先生が覗きにきて言ってくれたんだ…
「和くんは機械に生かされてる訳じゃ、
ないんだからな？」って。
「ちゃんと自分の意思で、生きようと
してるんだからな？」って。
その言葉通り…
和の体はポカポカ温かいし、心臓マッサージで
動かされてた心臓は今は規則正しいリズムで
動いてる。
翔「意識が戻るまでに、時間がかかるかも
しれない…」
翔は苦しそうに顔を歪めながら、俺らにそう
告げたけど…
翔「絶対に守るから」
同時にこうも言ってくれた。
「ん。また、みんなで応援しよう…」
分かってる…
この「応援」がどれほど大変か。
たった一言の言葉だけど、状況が厳しいだけに
俺らも気持ちをしっかり持たなきゃ潰れちゃう…
こんな時、長男の俺がしっかりしなきゃね。
いつもみんなに支えられてるから。
長男らしく…頑張ろう…
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作者名：空
| 作成日時：2014年8月7日 12時
